51/54
散文詩 51 「へこむすこ」
日々、心に残ったことを文字してみた
「へこむすこ」
祖父は大工の棟梁だった。
だから「へこむすこ」がたくさんいたと本家の従姉が教えてくれた。
九州弁で発音される「へこむすこ」をここに表記できないのが口惜しい。
「・・へこむすこ?・・何それ?」
謎だ。長く生きたが聞いたことのない言葉。
早速、辞書、いやググった。
へこ‐むすこ【褌息子】〘名詞〙成年式の一段階として、初めて褌を身につける式に、褌を贈ってくれた人と仮の親子関係を結んだ男の子。江戸時代などに見られた風習に由来する。
親方だった祖父が、弟子たちに褌を贈って仮の親子関係を結んだのだ。
社長が新入社員にブリーフを贈るなんて現代では考えられないが、
現代の就職より両者にとって、ずっと重い責任を伴う就職だったのだろう。
終身雇用制も崩壊した今の日本と異なり、「へこむすこ」たちはきっと生涯大工として生きたのだ。
そして今は希薄になった人と人との繋がりも、絆も、
下着を贈るくらいなのだから、もっともっと強かったのだろう。




