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散文詩  作者: 百島圭子
29/54

散文詩 29 「女の涙と男の涙」

日々、心に残ったことを文字にしてみた

「女の涙と男の涙」


『アタックナンバーワン』


私が生まれた頃に始まったバレーボールのスポコン漫画だ。主人公、鮎原こずえの目の中には歯が生えているし、親友の早川みどりは茶髪で巻き毛という高校生だが、木の葉落としという変化球サーブはすごかった。昔はこれでもかってくらいテレビで漫画の再放送が繰り返されていたから何度も見た記憶がある。今でも主題歌を口ずさんで風呂に入る。


♪苦しくったって 悲しくったって

コートの中では 平気なの

ボールがうなると 胸がはずむわ

レシーブ トス スパイク

ワンツー ワンツー アタック

「だけど涙が出ちゃう 女の子だもん」

涙も汗も 若いファイトで

大空に遠く 叫びたい

アタック アタック ナンバーワン

アタック アタック ナンバーワン♪


演歌のように情緒たっぷりに歌い上げられ、「だけど涙が出ちゃう 女の子だもん」の部分は台詞なのだ。女子向けの漫画にはこの手の主題歌が多かったような気がする。


『魔法のマコちゃん』


人魚だったマコちゃん。アリエルよりずっと前だし、人魚姫はアンデルセンの童話だから著作権は大丈夫なのだろう。マコちゃんの歌にも台詞があった。


♪どこから来たの、マコ、ねえマコ

何を求めてさまようのマコ

青い瞳に涙が光り

白い素足に血がにじむ

そんな時そんな日は震えるこの手でおさえても

一粒涙がこぼれちゃうのよ♪

「だって年頃なんですもの、わかってー」


年頃とは何のことかさっぱりわかっていなかったが、私は感情豊かに歌われたこの歌も真似して歌っていた。今でも歌詞が自然と出てくる。幼い頃の記憶は深く刻まれるのだろう。


女の子は涙をこぼし、他者の理解を得ようとしている。鮎原こずえは「女の子だもん」、マコちゃんは直接的に「わかってー」と言っちゃってる。


私は子供時代に泣いている男を見たことがない。男は泣くもんじゃないと育てられる。親が死んだときだけ男の涙は許されていた。


しかしおそらく30年くらい前から男が泣くのをよく見かけるようになった。気持ちが悪い。男は泣いてはいけないから、こいつは大丈夫だろうかと思ってしまう。こんなことで泣いていたら、日本沈没とかもっと酷いことが起こった時にどうするんだと心配になる。


でも女はほろっと涙を見せることで許される。女は弱いから仕方ないじゃないってことだ。本当は全然弱くないのに。そう考えると、泣くなと我慢を強いられた男たちがかわいそうに思える。


そうそう、魔女っ子メグちゃんは「♪真珠の涙を浮かべたら男の子なんてイチコロよぉ~ん♪」って歌ってた。


女の涙には男性の攻撃性を40%以上も抑制する化学物質が含まれているという実験結果があるそうだ。涙を利用する狡猾な女ばかりではないと思うが、女の涙が男の攻撃性を弱めるということを女は本能的に知っているのかもしれない。


男女雇用機会均等法が施行され、私が大学生の時には総合職とか一般職とかいう言葉も使われだした。男はわんわん人前で泣くし、女も「女の子だもん」などと言ってられない時代になったが、世界の男女格差の状況をまとめた2025年の「ジェンダーギャップレポート」では調査対象148か国のうち、日本は118位だ。主要7か国(G7)のうちで最下位。男女の身体的な差を土台にした上で、社会的な平等が日本で実現するのはもっと先になるのだろう。


それに年を取れば「年頃なんですもの、わかってー」なんて言ってられない。女は若ければ許されるという側面は変化しない。女が繁殖できる期間は優遇されるように本能に仕組まれている。年頃などという時期をとっくの昔に終えている私は「年頃なんですもの、わかってー」なんて言ってられない。


苦しくったって~♪悲しくったって~♪涙を出さずに生きていくのだ。



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