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散文詩 10 「嫁の誇り」
日々、心に残ったことを文字で残してみた
「嫁の誇り」
葬儀屋の人に「大往生ですね。十分な面倒をみられたのでしょう。お顔を見ればわかります。」と言われたことで、やり残したことはないと思えた。
もっと何かできたのではと考えていたわけでもないが、そう言われたことでお墨付きを得たのだ。
意地の悪い義母に四十年間いびられて、九十四で死ぬまで面倒をみてきた。
最後の十年は入退院を繰り返したが、できるだけ家で介護を続けた。
食が細くなったことを補うために栄養のある喉越しの良い食事を作った。
バナナを口に運んでやった。
濁った眼にはもう何も映らないようだったが、庭の見える場所に寝かせてやった。
心無い言葉を浴びせ続けた姑を精一杯気にかけ身の回りの世話をしてきた。
それは姑への意地なのか、自分の誇りなのか。




