カナヘビの背
「純文学ってなんだろう?」と悩みながら投稿しました。
開かない踏切に溜まるクルマの音や、登校時の生徒学生の喧騒が落ち着き、開店前のスーパーに並ぶ高齢者の列がほどける頃合いを見計らって、私はゲームに沈んでいた重い腰を上げ、自転車を押し出す。
ペダルを漕いでしばらく走ると思いの外に風が冷たく、意気地のない私は足をペダルから離してしまい、自転車はカラコロカラと止まる。
次の角のコンビニまでどうにか進めたら……ビバークして読みそびれた漫画雑誌を立ち読もう。
こんな乞食じみた弱い心が近頃すっかり板について、下卑た目標に後押された私はノロノロと自転車を押す。
またビュウ!と風が吹いて首を呷られると、視線の先にはグレーの泥水に打ち込まれた稲の苗たち。
斯様にいつの間にか季節は進み、鬱々とした気持ちと毛布を蓑にしている私は当然の様に取り残される。
不意に空が割れて、キラキラした陽射しが私の肩に差した。
いや、私だけでは無い!
リバーシの様に土地が造成されつつある最中の……挟まれた空き地の中で精一杯伸びている雑草の波にも、それは平等に降り注いでいる。
あれっ?! 波が動いた??
訝し気に目を凝らして見ると……枯草色の背中のカナヘビが青々とした草の波をはじいている。
そう、こんな所にも色んな命が根付き、こうやってお日様を求めて駆けまわっているのか……
私はほんの少しだけ背筋が伸びた気がして、頭を起こした。
途端に陽射しは熱を持ち、私の頭と背中をジリジリとさせる。
そして次に空気を切ったのは食べ盛りのヒナたちを抱えた狩りツバメ。
開放と危険は常に隣り合わせ。
私は再び身を屈め、自転車を押し出した。
何だか全然分かりませんが……(^^;)
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