消える日
初投稿です
「ここが例の研究所ですか」
「あぁ、これからのことは口外するなよ。あくまで機密事項なんだから」
我々は今とある廃研究所の入口に立っていた。監視という名目で今から行われる行為を見届けるのだ。
立ち入り禁止のテープを張る者、地面についた『入口』を見つめ何かを話す研究者たち、一台の消防車、そして我々含めた数名の警官。ざっと合わせても30人近くだろうか。山の中腹にあるこの場所には関係者しかいない。
私も上司も、一体ここで何があったのかは知らされていない。ただ、この廃研究所地下に世には出せないナニかがあること、そしてそれを今から廃棄することだけを知らされていた。不良たちがたまり場にでもしていたのだろうか。かつては尊厳のあっただろう建物は、今や見る影もなく寂れていた。地面から屋上にはツタが絡まり、窓は割れあたりに散らばっている。
私はそこから言葉を続けず、多くの人に囲まれている『入口』をただ見つめていた。地下に続く鉄製のそれは、建物の裏側にあった。長い年月で錆ついており、雑草に覆われ一目では見つけることができないだろう。隣に立つ上司も腕を組み何かを考えているようだ。
「一体ここで何があったんでしょうね」
「さぁな。ただ今までの若者集団行方不明事件のいくつかには関与しているという噂は事実だ」
「一部では有名なスポットですものね。肝試しにきて、そのついでにあの地下に行ったのでしょうか」
「やってることはただの不法侵入だ。それで命を落とすことになるとは思ってもいなかっただろうが」
「…一体いくつの命が散ったのでしょうか」
はぁ、と上司がため息をつく。ピリピリとした空気が頬を刺す。手のひらへの鈍い痛みで初めて無意識にこぶしを固く握り締めていたことに気づいた。我々が雑談をしている間に準備は終わったようだ。全身を防護服に包んだ人が、地下へと入っていく。入口を開けた瞬間、鼻孔にへばりつくような甘ったるい匂いが溢れだす。そしてしばらくたった後、カウントダウンが始まった。
3
あたりに緊張が走る
2
隣の上司が、静かに手を合わせる
1
今、
地下に火が放たれた
読んでくださりありがとうございました。
後々に虫や残酷な表現がでてくるので、苦手な方は注意してください。
次回から本編始まります




