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プロローグ
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期待されるのが嫌だ。
そんなの、私は望んでいない。
私の努力を、「天才」という言葉で終わらせないで。
あなたは分かってくれる?
たった一言で私の何が分かるの。
「期待してるよ」
「頑張ってね」
「みんなも坂入さんのように頑張りましょうね」
毎日毎日同じことばかり。
生徒も教師も、私を模範生徒にしたがる。
私だって、普通の生徒でいたいのに。
私、坂入紅音は普通の女子高生でいたかった。
☆☆☆
彼女はいつも美しかった。
いかなる場合でも彼女は美しい。
彼女はいつも美しかった。
そう期待されるのを、彼女は望んでいない。
彼女には裏の顔があった。
それを知る人間は僕だけだった。