二つ目いやだ2
二人が言うが早いがあらたがやって来ました。
「はいはい、何ですか、くすぶりにうらぶれの兄さん達」
二人の所にあらたが来ると、くすぶりが妙に優しそうに話し出します」
「まあ、とりあえずお座りなさいよ、あらた。そう立ったままで居られるのも不恰好ってものだしさ」
「どうしたんんですか、くすぶりの兄さん、変に改まって。なんだか気味が悪いですよ。
「そうかい? そんなことはないけどもね、なああらた、お前もここに弟子入りして随分になるけどもね、ちょっとした嫌なことってなかったかい」
「嫌なこと? やだなあ。兄さん方、そんなもの別にありゃあしませんよ。みなさん本当によくしてくださっていますもの。なんでまたそんなことお聞きになるんですかい?」
あっけらかんとしたあらたの答えようにくすぶりとうらぶれの二人は、てんで期待はずれでした。
「おい、うらぶれ、別にないってよ、どうするよ」
「いや、くすぶり、あたしにそんなこと言われたって困っちゃうよ」
「何二人でこそこそやっているんですか兄さん方」
あらたが気味悪がっていると、くすぶりがうらぶれに責任を押し付けます。
「いや何、うらぶれの野郎がさ、あらたの奴は何かしらいろいろ抱えこんじゃあいないかって気を揉んじまっているからさ、別に俺はそんなことどうでもいいじゃないかって言ったのだけどもさ」
くすぶりに、そんな風になすりつけられてはうらぶれもたまったものではありません。口を尖らせて反論します。
「何を言ってるんですか! くすぶり! そもそもこのことを話し始めたのはあんたその人じゃあないですかいこっちこそあらたに問題なんて何もないって思ってましたよ」
「まあまあ兄さん方、二人とも喧嘩しないでくださいよ。二人が何を言いたいかはよくわからないけれども、二人が僕のことを心配してくださっているってことだけはよくわかりましたから」
後輩であるあらたに逆に心配されて二つ目である、くすぶり、うらぶれの二人はすっかり勢いを失って
「なあ、うらぶれ、困っていること、別にないんだって」
「そう見たいですね。くすぶり、全くよかったじゃあありませんか」
「じゃあさ、あらた、例えばさ、雑用を命じられてさ、何だか嫌だなって思うこともあったりはしないのかな」
「ありませんよ、くすぶりの兄さん」
「それだったらね、あらた、あたし達が何か頼みごとをしても全然問題ないのかな」
「全くもって構いませんよ、うらぶれの兄さん」
「それじゃあ、可愛い後輩に頼んじゃおうかな、あらたにさ、ねえ、うらぶれ」
「そうだね、そうしようか、あらたに頼もうか。くすぶり」
というわけでくすぶりとうらぶれの二人はあらたに頼みごとをし始めました。