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二つ目いやだ  作者: らくご者
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二つ目いやだ1

今回は『饅頭怖い』のパロディとなりました。どうかご拝読ください。とりあえず、元ネタである『饅頭怖い』のストーリーは知っていたほうがいいとは思います。

立身出世は男の夢、という言葉がございますが、別に出世なんかしたくないよ、という人間も世の中には大勢おりまして、特にサラリーマンの中には、管理職になったら残業代が出なくなって、逆に給料が減ってしまったなんていう方もいらっしゃいまして……


寄席の楽屋で二つ目であるお兄さんの二人、名前を“くすぶり”と“うらぶれ”と言いますが、が何やら盛り上がっています。

「なあ、うらぶれや、最近師匠のところに弟子入りした、前座の、あらた、ってのがいるだろう。俺、どうもあいつのことが気に入らないんだよ」

「どうしてだい? くすぶり、あらた君のことをそんなに悪くいうことないじゃあないか。前座といえばいろいろ雑用もさせられるものだが、文句の一つも言わずによくやってくれているじゃあないか。おまえだって『やあ、やっと俺にも後輩ができた。これで雑用から解放される』って喜んでいたじゃあないか」

「そこだよ、うらぶれ。そもそも落語家に弟子入りするっていう奴はだね、落語をやりたいから入門してきたはずなんだ。新弟子なんてのはだね、先輩に何か雑用を命じられたりしたらだね、『自分は落語がやりたくて弟子入りしたのに、何でまたこんな雑用ばっかり』なんてことを内心思って然るべきなんだ。それなのに、あのあらたの野郎はそんなことはおくびにも出さずに、頼まれるままに『はい、喜んで』ってなもんだ。全くもって気に入らない。そもそも俺はだね、前座の時にあの出囃子でね、太鼓を叩くのが嫌で嫌で仕方がなかったんだ。何でまた落語家の俺が太鼓なんて叩かなくちゃあならないんだ。俺は盆踊り会場の櫓で太鼓叩いてる若い衆じゃあないんだ。ってね」

「そんな無茶苦茶な、くすぶり。でもまあ、前座の時の雑用が面倒だったってことには同意するね。あたしは、寄席の前での客引きが嫌だったね。雨の日も風の日も吹きっさらしの中、寄席に入ってもくれない通りすがり相手にするのは辛かったね。客引きをして、それで誰かしら客がきてくれるならまだいいけどさ、人っ子一人入りやしないと言った日には、もうたまったものじゃあないよ」

「だろう、うらぶれ、こうなったらさ、今、ここにさ、あの、あらたの奴を呼んでさ、何か嫌なことはないかきいてみようじゃあないか。あいつだって人の子さ、嫌なことの一つや二つ、何かしらあるに決まってるものさ」

「それもそうだね、それじゃあ早速あらたを呼ぼうじゃあないか」

二人は口を揃えて前座であるあらたを呼びつけました。

「「おーい、あらた、ちょっとこっちにおいで」」


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