表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白衣を愛すものどもへ!  作者: 高辻胡桃
3/3

「それにしても、日向の言う通り、エアコン付けて貰おうよ。これじゃあ今年も死んじゃうって」



玲が窓を開けて僅かな風を浴びながら言う。ミディアムロングの髪がふわふわと揺れる。



「私も毎年相談してるんだけどね……何せ部員も少ないから、なかなか難しいのよ」

「片山センセーに言うからでしょ。明日香ちゃんに言えば良いじゃーん」



片山先生というのは私たち二年生の数学担当教師であり、明日香ちゃんとは、顧問のいない私たちの部を多方面から支えてくれている、若い女性教師のことだった。



「誰に言っても変わらないわよ。校長先生に直談判っていう手もあるけど、あの人もご多忙だからね…」

「梓はほんと優等生だよねー。先生なんてちょっと足で使ってやるくらいが丁度良いのに」

「玲って本性こえーよな」

「うるさい体力バカ」

「はぁ!?何だとブリッ子!」

「脳みそ筋肉!!」

「多重人格!!」


「はいはい、落ち着いて」



唸る二人をなだめていると、扉が嫌に古めかしい音を立てて開いた。



「あ、また喧嘩してる。仲良しねぇ」

「「どこが!?」」

「そういうところが」



クスリと笑う女性。先程話題に出た明日香ちゃんだった。

噂をすれば何とやら。



「エアコン欲しいんだってね。でもねぇ、色々大変なのよ」

「ええ~、他の部室にはあるじゃない!」

「そう思うなら、もっと部員勧誘を頑張りなさい。貴方、二回しか参加してないでしょ?」

「うっ」



うなだれる玲の頭を撫でて、彼女は言った。



「そうだ、梓ちゃん。秋山先生が読んでたわよ?きっと卒業式の事だと思うわ」

「ああ、分かりました。日向、鞄の中に入ってるクッキー食べても良いよ」

「やったっ!」



明日香ちゃんに手を振って、部室を出た。


廊下はなぜか部屋の中よりも少しだけ涼しく、風通りが良かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ