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珈琲協奏曲  作者: 鶍 冬児
はじまり
8/9

秘密のノート

大和だけでなく和泉も秘密兵器を持っていた⁉︎

大和&和泉side


ー土曜会議の結末はー


その革製のカバーのついたノートブックの表紙を開くと、《㊙︎グラス/ディアの珈琲》とタイトルが書かれていた。1(ページ)ごとに注意深く繰ると、几帳面で女の子らしい綺麗な文字で、『珈琲の歴史』とか『珈琲の淹れ方』とか『珈琲の種類』とか色々な項目ごとに恐らく仙蔵さんから聞いたであろう知識が書き込まれていた。

「これは、お爺ちゃんが前に買ってくれたノートで将来のために色々書いてるんだけど、役にたつ……?」

そんなに謙虚な瞳で尋ねなくても、これは今の状況を完全に打破しかねない代物だと思った。

「ああ、役に立つ!これがあれば!」

取り敢えず、実働の面でもなんとかなりそうだと安堵した。


その後も、作れないメニューを補い新作メニュー(急場凌ぎともいう)について話し合ったり、開店時間について話し合ったりした。二人の知る草鹿 仙蔵という人間は少しのことで死ぬようなひ弱な人間ではなかったが、先の見えない恐怖は二人の背中に貼り付いたままだった。

ふと、時計を見ると昼過ぎに始めたはずが短針は7時を指していた。

「ああと、随分時間経っちゃったね。ご飯はどうする?外食が無難かな?簡単なものなら作れるんだけど。」

「う〜ん。大和の手料理食べてみたいかなぁ。珈琲以外、知らないから。」

「味の保証はしないよ?何がいい?」

「サラダは必須だよね。あとは、肉!」

思春期真っ盛りの中学生女子が肉!しかも、食材指定だけ。びっくりしたが、まあ、生姜焼きとかでいいかな。なんて考えながら、冷蔵庫の中身を確認する。

「うし、これなら、味噌汁と、あともう一品いけるな。」

エプロンを巻いて手を洗う。テレビを見ようとする和泉に、

「和泉?勉強だよー。ハイハイ、カウンターにテキストとか持ってきてねー。」

「うぎっ⁉︎えーと、あのー、食後〜、にやろうかなあ、なんて、」

「ダメ!時間ないって言ったよね?はい、準備!」

中学の学習指導要領くらいは料理の片手間に教えられる。


「そこは、この公式を当てはめて、そうそう。はい正解!」

「アレ?なんで今までわかんなかったんだろ?大和、教え方うまいね!」

よかった。和泉は地アタマごと腐ってるわけではなく、やらないで来てしまってるだけだった。というか、飲み込みと実用能力は僕より格段に高い。なんというか、こう、悔しかったが。

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