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珈琲協奏曲  作者: 鶍 冬児
はじまり
5/9

その背中の大きさ ②

エリート大和の悩みのタネがくだらないことで、親近感が湧く回ですよね?

ー背は口ほどにものをいうー


大和side


受験の為に通学時間を短縮する。当初はただそれだけの為に話したことはおろか、会ったこともない父の知り合いの家に居候させていただくことを決めた。勿論、居候先が『隠れ家的名店』として有名なグラス/ディアであるということは知っていたが、普通の飲食店よりも静かな場所ならむしろ好都合だなぁ程度にしかとらえていなかった。


しかし、初対面で出されたウェルカム珈琲なるものは、僕の考えを変えた。受験よりも、この味の秘密を、極意を知りたくなった。なぜ、こんなにも香り高くスッキリとした味わいなのか。思えば、そのとき初めて珈琲を“時間”として味わった気がする。

とにかく、師匠 草鹿 仙蔵さんの珈琲は桁違いな美味しさだった。その味に魅せられ、技術に惚れ込んだ僕は父には内緒で弟子になった。いつかは言わなければならないのだが、どうにも踏ん切りがつかなかった。まぁ、父は喫茶店よりも居酒屋やバーの方がお好みのようなので杞憂だが。



初夏は、緑が綺麗だとか川のせせらぎが美しく感じるだとか言われるけれどそんなことはない。雨が降らなければ陽射しの総攻撃だ。美月が

「ヤダなぁ。今年まだ日焼け止め買ってないのに…」

と愚痴をこぼすほどの直射日光をカーテンのない窓は遮ってくれない。可視光線(かしこうせん)の透過率が高すぎる。僕の席は窓際最後列。基本的に何をしてもバレない神席とか言われるけど、夏は地獄のように暑く、背後に男子の部活道具入れがあるので非常に臭い。(耐えきれずに席替えをした翌日にはコンビニで買った消臭芳香剤を配備した。)

その日も例によって暑かった。テスト用の良質なコピー用紙は日光をよく反射するので正直目が痛い。数学の単元別小テストで100点を取るのは簡単なはずだった。しかし、結果は70点。残り3問で学年主任に呼び出されたから不戦敗だ。

問8に手を出したときだった。スポーツマン体型の学年主任が焦った顔で数学担当のヒョロ先生(実際はヒロアキという名前なのだが、見た目からヒョロ先生になった。)に何やら耳を打ちをして僕を連れ出した。そして、告げられた言葉はーー

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