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珈琲協奏曲  作者: 鶍 冬児
はじまり
3/9

歪な二人

和泉と大和。それぞれにとっての草鹿 仙蔵という人物。共通点と相違点と立場が変われば評価も変わる。という内容にしたつもりです。

ー草鹿 仙蔵という人間ー


和泉&大和side


私にとって祖父、草鹿 仙蔵は家族の中でも一段と特別な存在だ。私の両親は共働きで帰宅も夜遅い。当時、小学生だった私を留守番させておくことに不安を覚えた両親は、定年退職後に現役時代から貯め込んでいたお金でグラス/ディアを開業した祖父に預けることにした。

「和泉、いつも家に居られなくてごめんな。でも、もう寂しくないぞ!お爺ちゃんがいる。毎日電話するからな。」

「お爺ちゃんの言うことをよく聞くのよ?週末は必ず会えるからね。」

取り繕う両親を前に、私は内心ガッツポーズを取りつつ、それを隠して

「うん……。分かった!いい子にしてるから!絶対の約束だよ!」

と渾身のいい子演技をぶってやった。


私は両親を好きになることができなかった。というと少し齟齬(そご)が発生するが、いつも二人の会話に上せられるのは私のことで大抵は喧嘩に発展する。発達途上の脆い心に私の居場所はここではないのではないかとさえ思えた。嫌悪(けんお)よりかは申し訳なさが幾分か多かった。だから、祖父の家(グラス/ディアは祖父の自宅の一階部分を改装したものである。)に住むことになったときは、水底(みなそこ)から浮上して空気を吸えたときのような開放感を感じた。

加えて、珈琲を淹れる祖父が本当に好きだった。いつも笑顔で(無言だが)見守ってくれている祖父とは打って変わって、この時ばかりは誰の邪魔をも許さないと言わんばかりに真剣な表情になる。それがたまらなくかっこよかった。


僕にとっての師匠兼雇い主兼大家である草鹿 仙蔵さんは父の知り合い程度の認識しかしていなかった。だから、交通の便を理由に高校最後の年は勉強に集中するためにも学校の近くで下宿するべきだ。という父の方針のもとグラス/ディア二階に居候させていただくことになったときも、さして興味もわかなかった。

きっかけは、ウェルカム珈琲といって出されたブラック珈琲の味。それを作る彼の真剣な顔の美しさだった。僕にとっての珈琲はせいぜい自販機からでてくる缶珈琲や家で落とす安物だったが、彼が豆を挽くところから始めたそれは、『時間』そのものを味わうものだった。こうして、僕は師匠:草鹿 仙蔵さんに惹かれて居候から居候弟子に肩書きが増えた。

和泉さんが仙蔵さんの話をするときや彼を見やるときの目の輝きは共感できた。弟子という肩書きが加わったことで当たりが強くなった気がするが、きっと思春期真っ只中でお年頃というやつなのだろうと勝手に消化して接している。いつか仲良くできるといいなぁとも思っている自分には、このときはまだ気づかなかった。

長ーく、焦ったーく、長々とした文を書いていかかとになるなぁと思いました、 笑

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