3/4
上司。
気づけば私は社会人として働いていた。
あれから何年経つのだろう。
あの頃は高校2年生だったから
5年くらいだろうか。
友達はどんどん結婚していき、結婚してない子は彼氏がいて、みんな幸せそうだった。
私も侑海が生きてたらそうなっていたんだろうか?
そんなこと思ってても侑海は帰ってこない。
わかってるんだ。
「明里さん!この後時間あるかな?」
突然後ろから声をかけられ少し驚きながらも振り向くと、そこには上司の山本さんがいた。
「またその誘いですか…?」
「あれれwバレちゃったかw」
この人は入社してからずっと私に絡んでくる。
しつこいくらいに食事に誘ってくるのだ。
顔も良くて、性格もよくて、仕事もできて、会社中の女の人の視線を集めている。
そんな人が何故私に絡んでくるのか分からなかった。
だから、食事の誘いはいつも断っていた。
だが、彼は諦めという言葉を知らないのか、OKをもらえるまで誘うという。
だけど、私は侑海以外とは食事もしないし、付き合う気はないのだ。
そんなことは言えないまま、今日もまたなんとなく話を変え、適当なとこで逃げるのだった。