過去の話
書きなれていないので、表現がおかしいところや説明が下手なところがあります。大目に見てやってください。
修正しました。
『今』の私の名前は“ラピス”。
髪が群青色で瞳が金色。まるでラピスラズリのようだから、と赤髪緑目を持った母と、私と同じ色を持った父がそう教えてくれた。
私は父似だった。
ちなみに『今』と表したことには理由がある。
私には『前世の記憶』があった。
前の私の名前は、“小畑百合子”。大学生だった。
しかし20歳の時、交通事故で呆気なく死んでしまった。
そして生まれ変わった私が住む今の世界は、前の世界ではない。
ここには私が生まれ育った国である日本は存在しない。
日本だけではなく、ヨーロッパもアメリカもなければ、文化も歴史も違った。
他にも決定的に違う部分がある。
それは、ここには“魔法”が存在していること。
更に、髪や虹彩が緑やピンクなど、色鮮やかであること。
それらは既に長年接してきたため、今更違和感を覚えることはない。
しかし一つだけ、元日本人であることも原因だろうが、きっと私の性格が一番の原因だろう、未だに馴染めない文化がある。
それが、『普段の会話の中で愛を囁くこと』だなんて。
この文化は大昔、或る魔術師が王様に助言したことから始まったらしい。
『愛を伝える言葉を使えば、きっともっと平和になりますよ』、と。
確かにその試みは世界を平和にし、新たな文化を作り上げた。
それは本当にすばらしいことだと思う。
けれど、私みたいな超奥手な女がいることを、忘れないでいてほしかった。
そう。前世の私はシャイな日本人気質100%で構成されているような、超奥手女子だったのだ。
もちろん誰かと付き合ったことはないし、そもそもいつも女友達と一緒にいたため、男性との会話には慣れていなかった。
それは『今の私』にも受け継がれていて、18年経った今でもこの文化に慣れることはない。
だから、この『素晴らしい』文化を少し恨めしく思ってしまうのも、仕方ないことなのだ。