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無限の世界  作者: 蒼風
終章「太古の時間流れる世界」
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終章三話「持ち受ける存在」(9)

 ゴーレムが行った対応は翼による迎撃だった。背中の翼が伸びそれが矢を弾いていったのだ。

 そうしてからゴーレムは刀弥へと両方の手甲の砲を向ける。そのまま砲撃で彼を倒そうと魂胆なのだろう。

 そうして放たれる砲撃。だが、それをおとなしく食らう刀弥ではなかった。

 彼は斬波の足場で上へと駆け上がって砲撃を回避すると、それからゴーレムへと接近。落下の勢いを乗せた突きをゴーレムへと放つ。

 狙ったのは頭部。しかし、この攻撃はギリギリ間に合ったゴーレムの砲撃終了からの回避動作によって掠めるに留まった。

 避けたゴーレムはそこからまた距離を取り翼を展開して彼に対して光の雨をまこうとするが、そこへ炎の砲撃。ゴーレムは攻撃を中断して避けるしかできなかった。

 その回避先へと刀弥は回り込む。彼は間合いに入る前に斬波を放ち、それから急加速。そうしてゴーレムが先に放った斬波を防ぐのを見計らって間合いに入ると、その腕狙いで斬撃を叩き込んだ。

 斬波を防いだ直後だったゴーレムはこの攻撃に対応しきれない。結果、刃はゴーレムの装甲の隙間に入り込みその多くの機構を断ったのであった。

 断ち切ったではないのは斬りこんでいく途中でゴーレムが腕を動かし剣から逃れたためだ。

 刀弥の刃から逃れたゴーレムは無事の方の腕の砲を自分の足元に放つ。

 地面にぶつかった砲はその威力の多くは爆発によって周囲に拡散。その勢いでゴーレムと刀弥は距離を開ける事となってしまった。

 爆発で吹き飛ばされた刀弥はバランスを立て直して立ったまま着地するとすぐさま広がった距離を埋めるべく駆け出す。

 だが、そんな彼の目前でゴーレムは再び背後の翼を六枚羽へと展開させた。どうやら先の攻撃をまた繰り出すつもりのようだ。

 それを止めんとリアが炎の砲撃を放つが、その攻撃をゴーレムは展開の動作一旦止め跳躍で回避する。どうやら向こうもリアの攻撃が来ることは予測していたらしい。

 そうしてリアの攻撃を対処したゴーレムは悠々と先程の攻撃を展開、そして放った。

 再び二人に襲い来る果てしない猛攻。すぐさま女の子が安全地帯や対処方法を指示してくるが、その指示はやはり二人にとって安全で楽な地帯や方法を教えてくれているにすぎず状況の打開には繋がらない。現実的に見ると時間を引き延ばしているに過ぎなかった。

 そんな時、刀弥が女の子にある問いを投げかける。


「なあ、高いが最短であのゴーレムに近づけるルートを見つけることはできないのか?」

「……正気ですか?」


 その問いに女の子は呆れたような声をあげた。


「可能ですがその場合、攻撃の激しさは先の比ではありません。攻撃を処理できずやられるのがかなりの確率で推定できます」


 そんな事もわからないのか。そう言いたげたな視線を投げながら説明を続ける女の子。けれども、刀弥にとって重要だったのはそのうちの一言だけである。


「できるんだな。だったら、やってくれ」

「……何を考えているのですか? 先程も申したように――」


 彼の返事に女の子は先の説明を繰り返そうとするが、その言葉を刀弥が遮った。そのまま彼は自分の意見を口にする。


「このまま安全な方法であの攻撃に対応してもいずれは体力が底をついてやられるのが目に見ている。だったら、ここは難しくても勝機の可能性が高い方をとるべきだと思わないか?」


 彼の意見に女の子は少し思案。やがて、ため息を吐きながら姿勢を解くと刀弥に向けて次のような事を言ってきた。


「……わかりました。あなたの意見を採用します。ただし、先程も申しました通りの攻撃の激しさは先程以上です。心して掛かってください」

「わかってるさ」


 彼女の忠告に刀弥は力強く応答。その返事に女の子は嘆息。けれども、すぐに真剣な表情に戻ると、それを合図に三人は行動を開始した。

 まずは刀弥がゴーレムの元へと接近していく。

 刀弥の接近に気が付いたゴーレムは光の雨による迎撃を開始。

 眼前から降り注ぐ攻撃の雨に対し刀弥はそのまま真正面から突き進む事を選んだ。

 眼前から迫ってくる攻撃をのうち当たる軌道のものを最低限の体捌きで回避していく刀弥。それに女の子の指示も加われば突破は容易い。

 そうして真っ向からゴーレムの光の雨を突破した刀弥はそのまま最短距離でゴーレムへと迫り、そうしてその勢いのままにゴーレムに突きを繰り出した。

 これまでの速度の乗った一撃にゴーレムは回避選択。左へ半身分程体をずらす事で刀弥の突きを避けるとお返しとばかりに背中の両の翼を刀弥へと叩き込む。

 しかし、この反撃を予測していた刀弥は突きが回避された段階でゴーレムから一旦距離をとろうとしていた。そのおかげで回避に成功する。

 無事だった刀弥はゴーレムに対し一旦斬波で牽制。そうしてから再び間合いへ入ろうと距離を詰め始める。

 この刀弥の動きに対してゴーレムは距離を詰められる事を嫌って距離をとろうとした。だが、そこへ氷の鎖が飛んでくる。飛ばしたのはもちろんリアだ。

 飛んできた氷の鎖はゴーレムを拘束。接触した部分を凍らしながらゴーレムの動きを封じてしまう。

 けれども、氷の鎖ごときで完全に動きを封じれるゴーレムではない。その証拠に既に縛っている氷の鎖の何本かがひび割れ始めていた。

 だが、それはリアも承知の上。彼女の目的は僅かな間の時間稼ぎなのだ。

 その時間を使って刀弥が己の間合い内へとゴーレムを捉える。

 繰り出したのは当たれば体を上下に断つ横薙ぎ。リアの鎖で絡まれている以上、ゴーレムに回避の選択肢はない。

 それ故かゴーレムは紋様の壁で刀弥の一撃を止めた。紋様の壁の硬さに思わず弾かれたたらを踏んでしまう刀弥。

 その間にゴーレムは氷の鎖を引きちぎろうとするが、それができず代わりに腕の手甲の砲を刀弥に向けた。その後起こるのはいうまでもなく砲撃だ。

 自身へと向かって放たれた砲撃。それに対して刀弥が選択したのは上への回避だった。

 斬波の足場で駆け上り最後は跳躍して砲撃を回避すると、そのままゴーレムの背後へと回り込む。

 回りこまれたゴーレムは背後を振り返ることなく翼を使って攻撃。しかし、その程度の反撃は刀弥とて予想済みであった。

 襲い来る翼に対して刀弥は受け流しを敢行。刀で翼の一撃を受け、それを自身より外側へと誘導する。

 そうして翼による一撃に対処した刀弥は斬波を放ち、それからまたゴーレムへと近づいていく。

 飛んできた斬波を紋様の壁で防いだゴーレム。それからゴーレムは再び刀弥を迎撃しょうと残るもう一方の翼を動かそうとする。が、それが叶う事はなかった。

 なんといつの間にやら氷の鎖がもう片翼まで伸びていたのだ。

 予定していた迎撃手段が使えなくなったゴーレムは急遽、手甲の砲撃で刀弥を狙おうとする。だが、そこへリアが飛び込んできた。

 手に持った杖による全力の打撃。これによって刀弥を狙おうとしていた砲をあさっての方向へと向けさせる。

 そうして無防備となったゴーレム。この時、既に刀弥は己の間合いまで接近している。ならば、後は簡単だ。

 放たれたのは敵を貫く一撃の突き。既にゴーレムに避ける事も防ぐ事もできる状態ではない。

 そうして刀弥の一撃は見事、ゴーレムの胴体を貫いたのであった。

 

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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