表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限の世界  作者: 蒼風
終章「太古の時間流れる世界」
236/240

終章三話「持ち受ける存在」(8)

 ゴーレムによって巻き起こされた爆発の数々。

 それを女の子は離れた場所で見ていた。幸いな事にゴーレムの攻撃は件の部屋まで届いていない。理由としては刀弥とリアが現在の距離から離れずに攻撃に対応しているからだ。

 二人は後ろに逃げながらの方が対処をしやすいのはわかっているはずだ。にも関わらずそうしないのは攻撃をあの部屋に届かせないためだろう。どうやら本気で自分との約束を守るつもりらしい。

 その事に呆れつつも信頼できるかもしれないと判断を新たにする女の子。そうしている間にも二人の戦いは続いている。


刀弥は次々と飛んで来る赤の線を軌道を見切り安全な移動軌道を見極めての移動による回避、リアは同じ要領で直撃だけを避け爆発事態は魔術によって防いでいた。

そうやってゴーレムの猛攻に対処しながら隙あれば反撃している二人。とはいえ、微量な反撃ではゴーレムに一矢報いることなどできるはずもなかった。

 二人の猛攻はゴーレムの猛攻に迎撃されているためだ。どれだけ放っても道中の間に赤の線とぶつかり爆発。攻撃は威力を失い迎撃されてしまう。

 攻撃を通せるような場所は存在しない。数が多い上にその軌道も一つ一つがかなり違うためだ。

 そのせいで二人の攻撃は今だゴーレムに届かすことができずにいた。


「くっ!?」


 迫り来る赤の光線をギリギリで避けながら刀弥はこの状況の打破を考える。

 この猛攻の恐ろしいところは数と威力である。とにかく膨大な数とその数に対しの高めの威力が厄介なのだ。

 直撃はもちろん余波でもあたりどこによっては一撃アウト。そんな危機状態の中で冷静に軌道を見極めなければいけないのだ。自然と精神的負担も大きくなる。

 それはリアも同じだろう。加えていえばこれまでの疲労もある。正直なところ二人共長い間この攻防を続けられるだけのコンディションではないのだ。

 そうなるとやるべきはこの猛攻を突破した腕一気に蹴りをつける事である。

 ただ、問題はそのための手段が思いついていのが問題でもあった。

 このままいけば力尽きるのは時間の問題。いっそ、今すぐ捨て身で仕掛けるかとも考えていたその時である。


「もう少し右に動いてください」


 そんな声が刀弥の耳に届いた。

 その言葉に即座に従い動く刀弥。すると――


「次は一旦下がった後に左前へ。そちらのあなたは三歩程進んだ後に一旦伏せた後、魔術で前方を防いでください」


 リアへの指示と共に追加の指示が飛んできた。

 声の主はわかっているあの女の子だ。どうやら比較的攻撃の薄い場所を教えているらしい。実際、指示に従うと対処がこれまでと比べて比較的に楽になった。

 そのまま彼女の指示に従いながら刀弥はゴーレムに近づいていく。

 そうして己の間合いまで接近すると、ゴーレムに向かって刀を振り下ろしたのだった。

 この攻撃でようやくゴーレムは猛攻を停止。刀弥の振り下ろしをバックステップで避けると刀弥に向けて手甲の砲で彼を飲み込もうとする。

 だが、そんなゴーレムに向けて風の矢が飛んできた。それもゴーレムのバックステップの移動がわかっていたかのように先回りする形で。

 当然ながらそのカラクリは女の子のおかげである。彼女がゴーレムのバックステップの移動距離を教え、その情報を元にリアが風の矢を放ったのだ。

 想定外であったゴーレムにとってこの攻撃は避けることも防ぐこともできない。

 そうしてようやく二人は装甲を外した後のゴーレムに一撃を入れることに成功した。

 攻撃を受けたゴーレムは一気に二人から距離を離す。

 それに対して刀弥は追いかけようとしたのだが、再びの猛攻を受けてしまう。

 女の子の指示のおかげで楽ではあるのだが、それ重視故に回り道の軌道となり結果的に時間を稼がれてしまう。

 そこにリアが炎の砲撃。この猛攻を強引に突破して攻撃を届かせようという意図だ。

 リアの考えた通り、さすがのゴーレムの猛攻も炎の砲撃を止めきる事はできなかった。

 攻撃が届くと判断したゴーレムは攻撃をやめて回避行動へと移る。

 軌道の(ライン)から外れた場所へと跳躍。そうして攻撃を回避したゴーレムがリアに向けて近づこうとするが、それはその動きを読んで先回りしていた刀弥によって遮られてしまった。

 間の前に現れた刀弥に対して光の剣を生み出し振るうゴーレム。対して刀弥はそれをギリギリの身の回しによって回避を狙う。

 時計回りに回る体の傍を赤い光の刃が通り過ぎていく。

 そうしてゴーレムの斬撃を避けた刀弥。直後、彼はその回した身の勢いのままにゴーレムに向かって刃を振るった。

 左から右への一閃。この刀弥の攻撃にゴーレムは防御を選ぶ。

 光の剣を用いた防御。さらに反対の腕も光の剣にする事で防御から反撃までの時間を可能な限り短くしようとする。

 しかし、ゴーレムの想定していた事態が訪れる事はなかった。刀弥の斬撃は途中で止まったからだ。

 フェイント。刀弥は自分が攻撃すると思わせることでゴーレムの処理能力の多くを自分の方へと振り分けさせたのだ。

 そうしてゴーレムが刀弥の方へとマークを向けている間にリアが新たな魔術式を構築する。

 発動したのは八つの風の矢。風の矢はそれぞれがリアの指定した軌道を通り刀弥の体を避けながらゴーレムへと接近していく。

 八つの風の矢は取り囲むようにゴーレムの周囲へと展開。そうしてからゴーレムへと向けて直進する。

 対しゴーレムは回避を選択した。跳躍によって風の矢を飛び越そうと言うのだ。

 だが――


「――させない」


 その場所へと向かって刀弥が斬波を放つ。

 行く先に斬波を飛ばされたゴーレムは飛ぶに飛べない状況となってしまう。かといって静止したままでは囲んだ風の矢によって貫かれてしまう。

 そうした状況の中進んでいく風の矢。やがて八つの風の矢はゴーレムのすぐ傍まで迫ることなったのだった。

 と、その瞬間ゴーレムが動き出す。

 風の矢の軌道を見切り安全な地点を探索。そして発見するとそこに己が身が行くように姿勢を制御するゴーレム。その意図通り、風の矢はゴーレムが事前に予測していた軌道を描いて飛んできた。

 後はただ経過するのを待つだけである。

 そうやって二人の攻撃に対応したゴーレムは回避直後に反撃。二人を正面に捉えて光の雨を放とうとしたのであった。

 しかし、そこでゴーレムはようやく認識する。既に自身の正面に刀弥の姿が迫っていたことを。

 要するにリアの攻撃もまた伏線だったのだ。当然、彼女が囮であるのならゴーレムに攻撃するのは刀弥以外にない。

 攻撃を向けようとしていたゴーレムが再び攻撃を中断。背中の赤い翼で防御と迎撃の動きに出ようとする。

 片方の翼で刀を防がれもう片方の翼で刀弥を襲おうとするゴーレム。そこへ炎の砲撃がゴーレムの翼を飲み込む。

 炎の砲撃に飲まれた翼。砲撃が終わった後、翼は砲撃の威力によって半壊状態だ。これでは振るう事もできない。

 だが、それも一時の間だけである。その証拠に半壊状態の翼は少しすると即元通りだ。

 その事実に思わずため息を付きたくなる刀弥であったが、今はそれどころではない。それになんとなくこうなる予感はあった。

 刀弥は再び接近戦を仕掛ける。そんな彼にゴーレムは翼で迎撃。翼を刀弥にぶつけ彼を吹き飛ばそうとしたが、その攻撃は刀弥が身を低くしたことで避けられてしまう。

 そうして直後に刀弥が切り上でお返し。ゴーレムはこれを後退する事で避けようとした。

 だが、そこに風の矢が迫る。方角は背後。丁度避けようとしている方向だ。

 ゴーレムが思考したのは僅かな時間の間。そうしてそれが終わると背後へと跳躍する。つまり風の矢を突破するという判断をしたという事だ。

 迫る矢と近づくゴーレムのボディ。眼前では下からの刃が目前を通過している。

 刀弥もリアもゴーレムも次の攻撃ための準備と策は既に終えている。

 まず口火を切るのはゴーレムの動きだ。

 そうしてゴーレムは風の矢への対応を開始したのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拍手もらえたらやっぱり嬉しいです。
ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ