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無限の世界  作者: 蒼風
終章「太古の時間流れる世界」
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終章三話「持ち受ける存在」(3)

 体に穴の開けられたゴーレム。とはいえ、本当に装甲に穴を開けただけである。

 その証拠に直後のゴーレムの剣戟に動きの低下は見られなかった。

 剣戟をバックステップで躱した刀弥は斬波で反撃。それを合図にリアも再び風の矢群を放つ。

 これにゴーレムは跳躍で応じる。そのまま刀弥の斬波を飛び越えると矢群の迎撃を開始。そのまま刀弥に接近すると光の剣を振り被り振り抜こうとした。

 対して刀弥は膝を崩して回避。そのまま身を屈めてゴーレムの足元目掛けて横の一線を放つ。

 が、ゴーレムはこの刀弥の攻撃に反応した。回避ついでに後方へと大きく跳躍すると左腕の銃器を刀弥に向けて発射。迫ってくる風の矢群については着地後、その機動力で全矢を避けきってみせた。

 とはいえこの間、刀弥達もただ黙って見ていた訳ではない。刀弥はゴーレムとの距離を詰めリアもまた新たな魔術式の構築を始めている。

 そうして己の間合いにゴーレムを捉えた刀弥は一刀。それが光の剣で防がれるとその衝撃と同時に右足による回し蹴りをゴーレムに向けて蹴り放った。

蹴りを受けてたたらを踏むゴーレム。そこへリアの炎の砲撃が襲い来る。

 たたらを踏み体勢の整ってなかったゴーレムは炎の砲撃に食われるしかなかった。そのまま炎の砲撃は直進しやがて残っていた壁と激突。壁を破壊し自らも終わりを迎えた。

 その様子を少し離れた場所から眺めていた二人。が、しかし、刀弥が何かに反応してリアの元に駆けつける。

 剣戟音。ぶつかったのは刀弥の刀とゴーレムの光の剣だ。

 なんと、炎の砲撃をまともに受けてなおゴーレムはまだ動けていた。とはいえ、無傷という訳ではない。

 装甲はところどころボロボロで場所によっては剥がれ落ちている箇所もある。

 だが、そうであるにも関わらずゴーレムに動きの低下した様子は見られない。

 その事実に疑問を得つつも刀弥は光の剣ごと刀を横へと動かした。

 光の剣ごと腕が動かされたことで姿勢が微量ながら崩されたゴーレム。そこへリアの三発の風の矢が迫る。

 迫る風の矢にゴーレムは迎撃を開始。左腕を振り上げ銃器で撃ち落としを狙う。が、そこに刀弥の突進が襲いかかった。

 刀を動かした際の半身の姿勢でショルダータックルに近い状態で入った突進。この衝撃でゴーレムの狙いが一瞬ずれ風の矢を落とし損ねてしまう。

 それでもすぐに修正して三発とも落とし切るがその分、時間が掛かってしまった。その間にリアが追加の風の矢を四発放つ。

 無論、刀弥の方も新たな動きに入っていた。右へ回りこむように移動すると、ゴーレムの脇へと目掛けて刀を振るう。

 対してゴーレムは上半身を半回転。右腕の剣で刀弥の刀を止め左腕で風の矢の撃ち落としを始めた。

 撃ち落とされる風の矢。その最中、刀弥はぶつかりあっていた刀を戻し逆回転を開始する。

 そうして逆側からの剣戟。これにゴーレムは上半身を回すことで対応しようとした。

 起こるのは先程と同じ光の剣と刀のぶつかりあい――にはならなかった。

 なんと、刀の刃は光の剣のガードの下を抜けていったのだ。その理由は刀弥が回転の最中に身を屈め始めていたからであった。

 体全体が下に行ったことで刀の軌道も斜め下へと落ちていき、それ故にガードの下を通り抜けていく事になる。

 そうして刀はゴーレムの足元に一太刀浴びせることとなった。

 だが、やはりというべきかゴーレムの動きの低下は見られない。

 刀弥の攻撃が終わった直後には光の剣を振り下ろし淀みのない跳躍で刀弥から距離をとっていた。


「……全くどうなってるんだ?」


 相手を見据えながらも刀弥はそんな疑問を口からこぼす。

 外の装甲とはいえ刃も風の矢もそこそこ中に入っているのだ。当然、中の機構だってそれなりの損傷を与えているはずである。にも関わらず、ここまでゴーレムにそれらしい様子は見られない。

 最適化されたのか? そんな答えた頭に浮かぶが正直刀弥としては納得出来ない。むしろ、攻撃が効いてないという方が納得できるが損傷が出ている以上は――

 と、そこまで考えた時、刀弥の頭の中にある可能性が浮かんできた。


「もしかして……」


 そしてそれを確かめるために彼は幾度目かの接近を試みる。

 リアの援護を受けゴーレムの射撃をかい潜りながら進んでいく刀弥。やがて、彼は己の間合いにゴーレムを捉えると一刀目をフェイクに肘打ちを繰り出し続く斬撃でゴーレムの装甲の一部を大きくはぎ取った。

 装甲が宙を舞い、そこから中の様子があらわになる。そうして見えたのは新たな装甲。つまり、このゴーレムは本来の装甲の上に別の装甲を纏っていたのだ。


「その装甲はダミーだった訳か」

「ダミーという訳ではありません。れっきとした追加装甲であり装備です」


 刀弥のこぼした感想に女の子が訂正を入れる。どうやらそういう装備だったらしい。

 最初に見た時はあの天使のような姿が本来の姿かと思っていたのだが、それが思い違いだと知りなるほどと納得する刀弥とリアの二人。

 と、そこへゴーレムが強襲を掛けてきた。

 逸早く反応した刀弥は接近してきたゴーレムの剣戟を刀で受け流すと続く銃撃を蹴り飛ばす事で銃口の向き変える。

 その間にリアが風の矢群を発射。矢群は刀弥を避ける軌道でゴーレムに接近していった。

 リアの攻撃に反応してゴーレムは後退。矢を迎撃しながら翼を展開していく。あの光線を放つつもりだ。

 それをさせまいと刀弥は地面を強く踏みしめ一気に接近。己の間合いまで近づいた。

 そのまま彼は縦の振り下ろし。ゴーレムの片翼を断ち切る。

 翼を失ったせいだろう。直後、生まれた光弾の数が四つになっていた。その事実に構わずゴーレムはリアへと向けて光線を放つ。

 リアが選んだのは回避だった。火球を一つ生み出すとそれを自分の足元で破裂させ己が身を飛ばしたのだ。

 これによって光線を回避したリアだが、覚悟していたとはいえすぐに体勢を立て直すことはできない。つまり、この間にゴーレムの追撃がきてしまえばどうしようもないのだ。

 が、彼女はその心配をしていなかった。なにせ、それをフォローしてくれる人物がいるのだから。

 リアに追撃の光線を加えようとしているゴーレムの背後に刀弥が回り込む。そのまま彼は刀を振り下ろすともう片方の翼も両断。と、それと同時に光弾が姿を消していった。

 翼を破壊されたゴーレムは上半身を旋回。刀弥へと向けて右腕の光の剣を振り抜くと彼から距離をとりつつ左腕の銃器で射撃する。

それを回避と刀による逸しで対応しながら刀弥も後退。その援護というようにリアは火球を五つ生み出すと、それをゴーレムへと向けて飛ばしたのであった。

 己に向けられた攻撃に気付いたゴーレムは刀弥への牽制を中断し火球の迎撃へと移行。

右腕側も銃器へと変え火球の撃ち落としに掛かる。

 爆発しながら撃ち落とされていく火球。だが、それは視界を遮る煙幕にもなっていた。爆発の衝撃で下に溜まっていた瓦礫の塵が舞い上がったのだ。

 自らを守るために視界を潰していくゴーレム。そうして最後の一つを撃ち落とそうとした時、右真横から刀弥が襲いかかってきた。

 刀を振り下ろす。この攻撃にゴーレムを防御を選択、右腕を己の盾とした。

 盾状態ではない右腕。予想通り、刀は防がれる事なく腕にその刃を食い込ませる事となる。

 が、その瞬間ゴーレムは右腕を外側、右へと振る。

 これに刀弥は釣られてしまい姿勢を崩してしまった。けれども、刀弥もただでは終わらない。崩れていく体を強引に前に出してタックル。背中側からゴーレムを押したのだった。

 押された事でゴーレムは僅かに動いてしまい結果、ゴーレムは火球の迎撃に失敗してしまう。

 撃墜を逃れた火球はそのままゴーレムへと迫り着弾。直撃したのであった。

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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