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無限の世界  作者: 蒼風
終章「太古の時間流れる世界」
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終章三話「持ち受ける存在」(2)

 光線を突破した刀弥とリアの二人。

 そのまま刀弥はゴーレムへと駆けていき、リアは足を止めて魔術式の構築を始める。

 対するゴーレムは翼を閉じて光線の攻撃を終了すると左右の腕に光の剣を出現させて刀弥の接近を待ち構えた。

 それに気付いた刀弥は一旦速度を緩めて斬波を放つと、次の一歩で一気にトップスピードまで上げて左へとステップ。回りこむ形でゴーレムの右側から斬りかかった。

 一方のゴーレムは既に左腕の光の剣で斬波を迎撃し右腕の剣で刀弥の剣を受け止めようとしている。と、なればこの後に待ち受けているのは光の剣による防御とそこからの即座の反撃だ。

 そのため、刀弥は新たな動きに出ることにした。剣を振る動きを強引に止めるとそこから時計回りの回転を加えたサイドステップで左――ゴーレムから見ればさらに右へと――へと回りこんだのだ。

 刀弥の新たな動きに気付いたゴーレムは防御を解きすぐに攻撃を放ったが、その時には既に刀弥はそこにいない。

 回りこんだ刀弥はというと回転の勢いを利用してそのままゴーレムに左から右への横薙ぎの一閃を放ったのだった。

 音が響き渡る。それは金属が奏でる音。しかし、刀弥の望んだ音ではない。

 音の正体は衝突音だった。なんとゴーレムは上半身を逆時計回りに回して左腕の光の剣で刀弥の斬撃を受けたのだ。

 この動きに刀弥はようやく相手が人ならざるものだという事を思い出した。だが、今更思い出した所で時既に遅し。

 鮮血が舞った。

 どうにか後ろに跳躍して深手を負うことは避けることのできた刀弥だが、それでも負傷という結果から逃れることまでできるはずもない。結果、左肩を負傷することとなった。

 ゴーレムは反時計に上半身を回した勢いを利用して右の光の剣を突いてきたのだ。反応がさらに遅れていれば光の刃は心臓を貫いていただろう。

 幸いだったのは低めの跳躍と体全体を後ろに反らしていた事で体全体が突きの軌道よりも下にあった事だ。おかげで心臓を間合いの外にいち早く逃すことができた。ただその代わりに左肩を負傷することになったのだが……

 負傷した刀弥に目掛けて追撃を掛けようとするゴーレム。だが、そこの火球の群れが殺到した。リアの魔術だ。

 その攻撃に気付いたゴーレムは左右の腕を銃器に切り替え火球の迎撃を始める。

 この間にリアが新たな魔術式を構築。そうして炎の砲撃を放った。ただし狙いはゴーレムではない。

 彼女が狙ったのは天井。結果、轟炎の砲撃を受けて天井はさらに崩壊することとなった。

 崩れ落ちた天井の残骸はゴーレムと刀弥達の間に落ちる。

 舞い上がる土煙。落ちた残骸は障害物となって両者の進行を阻む事となった。

 その間にリアはおおよその位置に辺りをつけて刀弥の元に急行。彼の傷口を覗き込むと魔術による治療でその傷口を塞ぐ。


「どう?」

「……大丈夫だ」


 周囲の警戒をしながら左肩を動かし状態を確認してみる。瞬間、僅かばかりの痛みが走った。

 十分我慢できる範囲内だが、それでも動きは僅かに鈍るだろう。とはいえ、先程の状態と比べれば遥かに今の方がマシであるが……

 と、そこへ土煙をかき分けゴーレムが姿を現した。

 咄嗟に刀弥が反応するが既にゴーレムの方が先に動いている。

 振り抜かれる光の剣。そに対して刀弥が鞘を盾にするが、相手の剣戟は強い。仕方なくその勢いに乗るように自ら飛ぶ刀弥。飛ぶ先にリアがいるがあれこれ考えている暇はない。

 そのまま彼はリアも巻き込み吹き飛んでいった。


「きゃあ!?」


 突然、自分の方に刀弥が飛んでき、さらに巻き込まれてしまった事に驚くリア。その後、二人は少しの間地面を転がることとなる。

 転がりながらもゴーレムへの警戒を怠らない刀弥。そして、ゴーレムが追撃のために再び翼を展開しようとしている事に気がつくとすぐさま起き上がりゴーレムへと接近していく。

 道中で斬波。狙いは展開後に出現する円状の模様の一つだ。

 彼の狙い通り彼の放った斬波は円状の模様の一つを両断。結果、ゴーレムの同時攻撃数を減らすことに成功した。

 そうして数が減った状態で光線が放たれる。

 刀弥は本来破壊した光弾が受け持ったであろう領域に自分の身を飛び込ませ光弾をくぐり抜けると一気に接近。左上から右下への一刀をゴーレムに放った。

 刀弥の接近に反応したゴーレムは光線の攻撃を終わらせ武器を切り替えようとしたが、それよりも刀弥が到着し攻撃するほうが早い。結果、その胴体に一線の傷が生まれたのであった。

 しかし、傷を与えたはずの刀弥の表情は曇っている。その理由はゴーレムを斬った時の感触だ。

 重く硬い手応え。どうやら俊敏な速度に似合わずかなり丈夫な装甲らしい。

 その事実に内心で舌打ちをしつつ刀弥は一旦後退する。

 彼が下がったのを見てゴーレムは展開を終えた右の光の剣を掲げて彼の後を追おうとするが、そこへ大量の風の矢群が襲いかかってきた。

 それに気付いた追撃を中断。既に展開していた左腕の銃器で風の矢の迎撃を開始する。

 この間に刀弥は再び斬波を発射。そうしてワンテンポ遅れて再度ゴーレムに近づいていった。

 斬波を光の剣で迎撃した直後を見計らって間合いに入っていく。左腕は未だ風の矢群を撃ち落としためにそちらへと向けられている最中。つまり、両の手は塞がっており無防備だ。

 そこへ刀弥は一刀を叩きこもうとしたが、直後ゴーレムは後ろへと急速に後退したために振った刀は空を切ることとなってしまった。

 一方、刀弥の攻撃を回避し、風の矢群を全て撃ち落としたゴーレムは反撃にうつるべく新たな動きを作る。翼を新たな形へと変形させたのだ。

 そうしてできたのは翼のパーツを筒状に変形させたい形。左右に二つ生まれたそれをゴーレムは刀弥とリア、それぞれに向ける。

 どんな攻撃が来るのかと警戒する二人。その疑問は直後、筒内に光が充填されるのを見て氷解した。あれは砲なのだ。

 さすがにそのままじっとしている訳にはいかない。刀弥は走りだし、魔術式の構築を開始する。

 そうしてゴーレムは砲撃を二発それぞれ別々の方に放ったのだった。

 刀弥は砲の範囲から逃れようと全力で走り、リアは炎の砲撃を放つ。

 二つの砲撃はそんな二人の元へと迫り――

 爆発音が建物内に響き渡った。

 再びの大きな振動に崩れかけたいくつかの瓦礫が崩れ落ちていく。

 当の二人はというと刀弥は砲撃を右への急速的な方向転換による跳躍で回避。リアの方は炎の砲撃で相手の足場を崩した事で砲撃の狙いをずらし避けることに成功していた。

 敵の攻撃が止んだ直後、刀弥がすぐさま接近を再開しリアがそれを支援しようと風の矢群をゴーレムへと飛ばす。

 翼の変形させながらリアの風の矢群をまたも左腕の銃器で撃ち落とし始めるゴーレム。が、今度の風の矢群はそれぞれがかなり複雑の軌道で飛んできておりなかなか簡単に撃ち落とせない。

 その間に刀弥はゴーレムの背後に回りこんだ。

 相手の体全体をしっかりと認識ながら刀を振り上げる。

 対してゴーレムは右腕の光の剣で防御。光の剣の刀の刃同士がぶつかり合い奏でた音が一帯にこだました。

 その瞬間、刀弥は刀の軌道を変更。ゴーレムの光の剣を刀で絡めとって横へと退かせると左足を上げてゴーレムへと蹴りこむ。

 直撃。刀弥の蹴りを受けてゴーレムは後ろへと飛ぶ。そしてその方向の先にあるのは未だ全滅を逃れている風の矢群だ。

 残った風の矢群とゴーレム。両者の距離は縮まりあい――

 そうしてゴーレムはいくつかの矢をその体で受ける事となったのだった。

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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