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無限の世界  作者: 蒼風
終章「太古の時間流れる世界」
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終章二話「立ちはだかる存在」(4)

 その頃、刀弥とリア達はというともう時期で目的地という所まで来ていた。背後からは何体かのゴーレムが追いかけており目前には巨大ゴーレムが三体壁のように立ち並んでいる。

 背後から飛んでくる射撃は回避で対応しつつ反撃はなし。その代わりにその分の意識を前方へと回す。

 巨大ゴーレム達は重火器を装備しておりその火力を活かした猛攻を二人へと放ってくる。

 飛んでくる攻撃の数々。それらを回避し、時に防ぎながら二人は前へと進んでいった。

 そうして敵が自分達の間合いに入った瞬間、二人は反撃に転じる。

 まず最初に反撃の狼煙を上げたのはリアだった。彼女は刀弥に守ってもらい若干の時間を確保してもらうとその隙に魔術式の構築を開始。後はそれによって生み出された雷の鉄槌の魔術を落とすだけだ。

 前方広範囲に雷が鉄槌の如く落ちる。

 それによって光と轟音が響き渡り、落ちた衝撃によって風が吹きすさんだ。

 風によって土煙が舞い上がり、巨大ゴーレムを破壊できたのかできなかったのかわからない。

 けれども、刀弥とリアの二人はそんな結果、気にもしてないのかのようにリアの魔術が終わると同時にすぐに駆け出していた。

 やがて、土煙が止んでくるとその中から巨大ゴーレムが一体姿を現す。どうやらこれだけは上手く範囲から逃れる事ができたようだ。ただし、持っていた重火器がないので武器の方は攻撃に巻き込まれたと見ていいだろう。

そんな巨大ゴーレムを確認して、刀弥が前に出た。

 彼は斬波を放ち巨大ゴーレムの視線を己の方に向けさせるとさらに速度を上げて巨大ゴーレムに迫る。

 刀弥が己の間合いに入ると同時に巨大ゴーレムは腕を振るう。単純なストレート。だが、繰り出した本人の質量を考えるとその威力は馬鹿にできないだろう。

 これに刀弥は身を低くして応じた。そのままスライディングへと転じストレートの下を潜っていく。

 後は足元まで接近して足首を斬って体勢を崩すだけだ。そうして崩れた所で頭部を切れば巨大ゴーレムの動きは止まる。

 刀を引き抜いた所でリアが追いついてきた。背後を見れば距離こそ縮まっていないがゴーレム達の追走も続いている。

 目的地までは目前だ。それを確認して二人は頷き合う。一気に目的地まで向かうつもりなのだ。恐らく激しい妨害が待っているだろうが、この距離なら力押しした方が早い。

 そう判断して二人は走りだす。刀弥が先頭に立ちその真後ろにリアが付くという配置だ。

 しかし、二人の予想に反して正面から戦力らしい戦力がやってくる事はなかった。あっても別の場所にいたであろうゴーレム達と偶然遭遇したという程度だ。


「どうなってるんだ?」


 理解できない現状にそんな疑問が溢れる刀弥。それはリアも同様だ。


「何かあったのかな?」


 そうなのかもしれないが、何もわからない現状では推測のしようもない。それに罠の可能性であれ他に行くところなどないのだ。ならば、迷う意味などない。


「……何にしてもいくぞ。どうせ、他にあてなんてないんだ」


 その言葉にリアが首肯を返して二人は目的地の方を見据える。

 道すがらには別の所からやってきたと思しきゴーレム達がチラホラと見えるが、今まで能登比べると大した数ではない。

 とはいえ、ここまで休憩を挟んでとはいえ連戦続きだ。疲労のせいで楽々突破という訳にもいかないだろう。

 それでも今までと比べて楽だという感覚が気分をいくらか楽にさせてくれる。

 飛んでくる射撃。その最初を刀で弾きた直後、右前方へと飛ぶ。

 それを射線が追いかけて来るがそれよりも先に刀弥が一番前にいたゴーレムの元に辿り着くほうが早い。

 一閃。その一撃でゴーレムを断つとすぐさま刀弥は次のゴーレムの元へと一気に駆け寄り再び刀を振るう。

 そうやって次々と前方のゴーレムを狩っていく刀弥。当然、ゴーレム達は彼を警戒してそちらへと全センサーを集中させる――という訳でもない。幾体かはリアへの警戒を外さず続けていた。

それにも関わらずリアが魔術式の構築の動きを見せる。当然、彼女を警戒していたゴーレムはその隙を逃さず射撃を撃ち始めた。

 だが、リアは即座に動きを止めて回避。結果、彼女の回避動作によって射撃が誘導され土煙が舞うことになる。

 視界が悪くなった事で一旦射撃を中断するゴーレム達。そこへ風の矢群が殺到した。

 一帯指定の大雑把な狙い。直接見えずとも直前の位置覚えている今回なら有効な目標指定方法だ。

 いくつもの矢が雨のようにゴーレムの装甲を貫いた。穴だらけとなったゴーレム達は次々と傾き横たわっていく。

 けれども、それを確認することもなく既にリアは走りだしていた。仕方ないだろう。なにせ背後からは自分達を追っている敵がいるのだ。一時(いっとき)分の距離でも今は惜しい。

 リアが前へと意識を戻す頃には既に刀弥はかなり前の方まで進んでいた。今は武器を捨て拳を振り下ろそうしているゴーレムに対して回避行動をとっている最中だ。

 身を回して拳を眼前で回避する刀弥。そうして拳の横を抜けた彼はがら空きの胴体へ剣閃を叩き込む。

 上半身が左へとスライドして崩れ落ちていくゴーレム。

 その脇を通っていった刀弥は次のゴーレムを斬波で切断すると続いてその奥のゴーレム目掛けて駆けていった。

 それを眺めながらリアも彼の後を追っている。足では刀弥に追いつけないが、向こうを闘いながらだ。徐々にだが二人の距離は縮まっていっている。

 そうして彼女が刀弥に追いついたのはそれから二体目のゴーレムを彼が縦に両断した時であった。

 左右に割れていくゴーレムを見てそれからリアはその向こうに見えたゴーレムを見据える。

 ここから先の行動は既に頭に入っていた。故に立ち止まったと同時に魔術式の構築は始めている。

 直後、リアは炎の砲撃を撃ち放った。

 炎の砲撃は目標のゴーレムを飲み込み、さらに奥の三体もその灼熱で溶かしていく。

 これで前方の二人を阻むものは何もなくなった。後は全力で走った中に入っていくだけだ。

 相変わらず背後からはゴーレム達が追いかけて来るが問題点はそれだけである。むしろ、それしかないと言っていい。

 二人は頷き合う。

 どういう訳か新手のゴーレムが現れなくなったが、目的地の中までそうだとは限らない。それ故に気をつけろと二人は己に言い聞かせる。

 そうして目的の建物の中へと入っていく二人。と、中に入ると同時には二人は目を見開いた。建物内ではあちこちにゴーレムの瓦礫が散乱していたからだ。

 壁や天井、床にはえぐれたり亀裂が走っている痕がある。明らかに戦闘跡だ。


「誰かが俺達よりも先にここに来たという事か」


 それなら先程の新手が現れなかった事も理解できる。そちらに戦力を回しているかそもそもそちらの人間がその元を潰したのだ。だからこそ、新たなゴーレムが現れなかった。

 しかし、そうなると気になるのはここに誰が来たのかという事だ。

 刀弥は走りながらゴーレムの残骸に目を凝らす。けれども、彼にわかったのは傷跡の種類とその何者かの進行方向くらいであった。

 と、その時。奥の方から激しい音が刀弥達の届く。続いて響いてきたのは大地の揺れ。

 音の種類は戦闘音。どうやら奥で誰かが戦っているらしい。

 刀弥達はそこへ急いで向かうべくさらに速度を上げる。

 背後では丁度、二人を追ってきていたゴーレム達が建物内へと入ってくるところだった。しかし、二人はそちらを気にも留めない。

 横たわり広がる残骸の障害物を飛び越えながら進んでいく二人。

 やがて、二人は地下へと至る道を発見したのであった。





           二話終了

という事で二話はこれで終了です。

次はいよいよ最後の三話となります。

ここまで付き合ってくださった皆様。本当にありがとうございます。

後、もう少しです。どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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