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無限の世界  作者: 蒼風
九章「反撃の連合」
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九章三話「そして拠点へ」(5)

 相手の左背後へ回りこむために右へと飛ぶ――と、見せかけて急制動を掛けてその分の速度を刃に乗せて振るう。

 急加速した刃は、けれども、寸前のところでフェイントに気が付いたレナスのバックステップによって空を斬ることとなった。

 後退で避けたレナスはそのまま銃剣の銃口を刀弥へと向けて銃撃を放つ。

 銃弾の種類は部下達と同様風を圧縮した風弾。バックステップの時点で射撃の反撃が来ることを予期していた刀弥はこれに対して前へと体を倒し身を伏せることで回避とした。膝を曲げ伏せた彼はその膝を使って己の体を前へと飛ばす。

 接近する刀弥。対してレナスは再びバックステップで距離をとる。どうやら刀の間合いに付き合うつもりはないようだ。そのまま銃剣を連射し彼女は刀弥に攻撃を加え続けた。

 飛んでくる銃撃をステップとスピン、そしてフェイントで避けていく刀弥。どうしても避けられないものは刀を使ってその軌道を逸らす。

 無論、接近することも忘れていない。避けるために横への動きが多いながらも僅かずつ前へと進んでいく。

 けれども、相手もまたそれに気付いて少しずつ下がっていた。

 進んだ距離と下がった距離。双方の距離が同じであるなら、それは両者の距離が縮まっていない事を意味している。つまり、近づけていないという事だ。これでは刀の間合いに入ることができない。

 そこで刀弥は斬波を放つ事にした。左上から右下への袈裟懸けの斬波がレナスへと向って飛んでいく。

 この攻撃にレナスは回避を選択。右へと飛ぶと同時に接近してくるであろう刀弥に向って左の銃剣の銃口を向けた。しかし、彼女が予測した場所に刀弥の姿はない。

 一瞬、疑問を得るレナス。そんな彼女の元へ再び斬波が襲いかかってきた。

 斬波が飛んできた方角は右側。奥には刀弥の姿がある。どうやら裏の裏を読んできたようだ。

着地と同時にスピンを行い斬波を背中越しに避けたレナス。そこへ今度こそ刀弥が迫ってくる。

 後退して逃げようとする彼女を刀弥は斬波によって牽制。後ろではなく横へと動かす事で広がる距離を縮めた。

 右へと避けた彼女はすぐさま左右の銃剣で反撃。同時に撃たれた二発の風弾が絶妙な間隔を持って刀弥に襲い来る。

 タイミング的にそのままでいても左右に動いてもどこかしらに当たる位置へと飛翔する風弾。その判断力とそれを実現する技術力に刀弥は驚きながらも銃弾の対処を始める。

 右肩、右足を前にした半身の姿勢での前進。刀弥の目測が正しければ弾丸の軌道と体の横の線が平行になるようにすればその間を通り抜けれるはずだ。

 その通りとなった。風弾は刀弥の左右を通過。そのまま後ろへと飛んでいったのだった。

 そうしてレナスの攻撃を突破した刀弥は速度を維持しまま刀の間合いまで接近。右から左への一閃を繰り出した。

 レナスはこの一撃を左の銃剣で防御。反対の右の銃剣を刀弥に向けて振るう事で反撃する。

 首元に向って昇ってくる銃剣の刃。

 この一撃を刀弥は右へと跳躍する事で避けた。さらに左の銃剣で追撃しようとしているレナスに対し再び斬波を放つ事で妨害する。

 レナスは仕方なくその斬波は左の銃剣の射撃で相殺。今度は右の銃剣を彼に向けようとする。

 それに気付いた刀弥は再び右へと跳躍。レナスの背中側へと回りこむ事で右の銃剣の狙いから逃れようとした。

 けれども、刀弥の狙いを悟った瞬間、レナスは反転。そこに跳躍を交えて刀弥に右の銃剣の斬撃を振るってくる。

 下がって回避することも考えた刀弥だが、それをしたところで今度は銃撃による追撃が飛んでくるだけだと気付き中断する。代わりにするのは刀による防御。

 甲高い音が響きレナスの回転斬りが止まった。

 しかし、レナスは防御の際の衝撃を利用してまた反転。今度は左蹴り見舞ってくる。

 今度の攻撃は反応こそできたが体が対応しきれなかった。どうにか後ろへと下がろうとしたのだが間合いの外へと逃れる前に蹴りが届く。


「ぐっ!?」


 漏れた声と同時に吹き飛ぶ体。宙にいたのは一瞬でその後はひたすら床の上を転がり続ける。だが、このままでいる訳にはいかない。回る視界の中でレナスが銃剣をこちらに向けているのが見えたからだ。

 強引に体を捻じり転がる軌道を変更する。

 タイミングが良かった。直後に射撃が放たれたのだ。放たれた風弾は本来刀弥が転がるはずだった軌道に向って飛んでいく。

 続く二発目は避けられなかったがそれでも来るとわかっていたため刀を使って軌道を変えるのには成功した。そんな中で刀弥はどうにか身を起こすことに成功する。

 敵は三発目発射しようとしているところだった。

 僅かな右ステップで三発目を回避すると刀弥は地面を一蹴り。滑るような一歩でレナスとの距離を縮めた。

 とはいえ、転がったせいで両者の距離はかなり開いている。この程度では刀の間合いには入らない。

 レナスはというと既に刀弥の方に銃口を向けたまま後ろへの跳躍の構えに入っている。やはりというべきか刀の間合いに入らせるつもりはないらしい。

 相手の射撃と同時に斬波を放ち風弾切断と攻撃を行う刀弥。レナスはその斬波を左へと飛んで逃れる。

 そうして着地したレナスは左右の銃剣で反撃。連射という数を持って刀弥を押し込もうとした。

 けれども、既に戦闘開始から幾ばくかの時が過ぎており、少ないながらも情報も集まってきている。もう射撃のタイミングを事前に読むことは可能だ。

 銃口から弾道を読み射撃のタイミングに合わせて右へ左へと射撃を回避しながら前進する刀弥。

 相手の射撃タイミングを読めたのは戦闘を始めた時からそこを見極めようと考え観察と分析をし続けていたからだ。

 とはいえ、実のところ当初の想定以上に彼女の射撃タイミングを読むのは大変だった。何故なら、相手に癖らしい癖がなかったためだ。前動作に僅かな癖もなければ銃口の捕捉から射撃までの時間もバラバラ。これではタイミングを読むのは難しい。

 それでも諦めず視線や呼吸、これまでの射撃の情報といった様々な情報や要素を集め分析し続ける刀弥。その結果、理屈もへったくれもない第六感任せではあるが射撃タイミングを読めるようにはなってきた。

 たぶん、理屈はあるのだろう。だが、それを上手く言葉や感覚にする事ができないせいで第六感みたいな感じになっているのだ。とはいえ、今必要なのは射撃タイミングを読むための理屈という過程の情報ではなく射撃タイミングを読む事ができるという結果の方だ。理屈(それ)については後で考えればいい。

 ともかくそうやって刀弥はレナスの連射をくぐり抜け彼女の傍までやってきた。

 到達と同時に刀を振り上げる刀弥。対しレナスはその刀の攻撃を右の銃剣でガードすると直後に刀弥の首筋目掛けて左の銃剣を振るってくる。

 その攻撃を身を屈めてやり過ごす刀弥。直後、彼は彼女の足元目掛けて突きを放った。

 右肩側を前にした半身に近い屈み姿勢から右手一本で突きを繰り出した刀弥。

 だが、レナスはその反撃を跳躍一つで回避してみせた。宙に浮いた彼女は右の銃剣を下へ――即ち刀弥へと向け引き金を引こうとする。

 しかし、この展開は刀弥の想定の範囲内で当然対策も打っていた。彼は突きが外れた直後には背中側へと身を倒しており、その倒れた勢いを利用して左足の蹴りを放ったのだ。

 蹴りの狙いはレナスの右の銃剣。不意にきた衝撃にレナスは抗うことができない。

 回転しながら宙を舞う銃剣。結局、レナスは右の銃剣を弾き飛ばされ武器を一つ失うこととなってしまったのだった。

 けれども、レナスは動じた様子を見せない。慌てた様子も動揺した様子も見せることもなくすぐさま左の銃剣を刀弥へと向けようとした。

 とはいえ、その時にはもう刀弥は起き上がっており放たれた射撃も刀一本で逸らされてしまう。

 起き上がった刀弥は相手の射撃直後にまた接近。

 左上から右下への剣戟を放つ――と、見せかけたフェイントを仕掛け相手のバックステップを誘うと、そこから突きの斬波を放った。

 宙にいたため避けられなかったレナスは銃剣の刃でこれを防御。その衝撃を利用して一気に距離を開けたのだった。


 そうして白熱してく二人の戦闘。一方、他方の方もかなり激しい戦闘の真っ最中であった。

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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