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無限の世界  作者: 蒼風
九章「反撃の連合」
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九章二話「森林戦」(1)

さて、第二話の始まりです。

どうぞよろしくお願いします。

 敵の攻撃が飛んできたのは飛空船を出発してしばらく経った後だった。

 視界が遮られる木々の向こう。そこから射撃が飛んでくる。

 光弾、実弾、爆発する弾。様々な弾丸が襲いかかってくる中、各自はすぐさま反撃に転じた。

 反撃の基本は遠距離攻撃ができる者達による攻撃。近接攻撃しかない者はできる者が射撃を防いだり弾いたりしている、

 やがて、木々の向こうから敵の姿が見えてきた。

 森の色に紛れた迷彩の衣服。視認しづらい事この上ない出で立ちである。

 彼らは木の影や枝の上から射撃を放ち乗り物の進行を妨害しようとしていた。

 刀弥達の乗り物はヴィアンが操縦をしており、敵への攻撃はレリッサとロアンが銃でリアは魔術で反撃をしている。銃を扱うスキルのない刀弥は彼らの空いた隙を埋めるために時折斬波を飛ばす程度だ。

 基本的に刀弥達の陣営は妨害する敵は無視する方向で動いている。そもそも彼らの目的はレグイレムの集結地点を叩くことだ。飛空船が落とされた今、その目的を達成するためには短期決戦しか勝機はない。彼らを相手にしている時間も装備もないというのが正直なところだった。

 通り過ぎられた敵は背後から射撃を撃ってくるか、やがてそれらの効果もなくなってくると乗り物を止めること諦め飛空船の方へと進んでいった。

 それを遠方を見ることのできる魔具で確認した刀弥は飛空船に残っている人達の事を考える。

 どうやら飛空船の方でも戦いが始まるようだ。ひょっとしたら自分達を追うために飛空船に敵がいかない可能性もという淡い希望を抱いていた刀弥であったが、それは虫が良すぎたようである。

 一瞬、飛空船に残った者達の事が心配になるが、それも新たな射撃の到来で霧散する。

 すぐに反撃にでる仲間達。刀弥もまた表情を引き締めなおして事にあたった。

 と、遠くの方で鳥達が飛び上がっていった。次に聞こえたのは木々が一本、軋みをあげて倒れていった音。

 一体何の音なのか。疑問を浮かべた一同だが、その疑問はすぐに解ける事となった。

 森の向こうから木々をへし折りながら一体の巨大なゴーレムが姿を現したからだ。

 すぐさま巨大なゴーレムを避ける軌道をとる刀弥達の乗り物。その上で彼らは巨大なゴーレムへとその火力を集中させる。

 ゴーレムは重く頑丈であったが、さすがに集中砲火を受けてただでは済まなかった。たちまち装甲を削られていき、最後には動力源を撃ち抜かれてその機能を停止させた。

 厄介な敵を一つ落とした事で士気が上がる刀弥達の陣営。けれども、それは新たな巨大なゴーレム達が集団で現れるまでだった。

 木々をかき分けて次々とその巨体を晒すゴーレム達。この光景には先程の勢いも吹き飛んでしまう。

 誰かが『このまま突破するぞ!!』と叫んだ。その叫びに呼応するように乗り物が次々にその速度を上げていく。

 そんな彼らに対しゴーレム達は一旦移動を停止。背後に手を回すと背中に背負っていた銃火器を握り砲身をこちらへと向けていく。砲である。


「回避!!」


 誰かがそう叫んだような気がした。はっきりしないのはそれと同時に砲撃音が響き渡ったからだ。

 光が視界を染め上げそのすぐ後に轟音と衝撃波が駆け抜けてる。

 一瞬、衝撃波で制御を失う刀弥達の乗り物。けれども、ヴィアンは即座の判断でどうにか制御しそのおかげで横転を避ける事はできた。

 やがて、光と音が止み刀弥達が恐る恐る目を開けてみると、そこには一筋の焼け跡が残っていた。その一筋にいたと思われる乗り物の姿はどこにもない。どうやら先程の砲撃に飲み込まれてしまったようだ。

 刀弥達が呆然としている間に攻撃を放った巨大ゴーレムを始めとしたゴーレム達は新たな標的を補足。再びその砲口を再び彼らへと向けた。


「動け!!」


 その事に気が付いた刀弥が一喝。それで味方は我に変える。

 乗り物が急発進するのと砲音が次々と響き渡るのはほぼ同時。けれども、今回砲は一つも標的を捉えることはなかった。刀弥の一喝が間に合ったのだ。

 標的の代わりに森の木々を食らった砲撃。そのせいで森の中はそこら中砲撃痕だらけだ。

 再び狙いを定める巨大ゴーレム達。さすがにこのままではまずいと思ったのか味方の陣営が妨害の攻撃を放つ。だが、ゴーレム達はびくともしない。

 まるで何事もないように構え砲撃を放――とうとしたその時、一発の砲撃が一体の巨大ゴーレムの頭部を破壊した。

 攻撃を止め頭を破壊されたゴーレムは横へと崩れていく。

 突然の支援攻撃。その事実に驚きながら刀弥達は砲撃が飛んできた方向へと視線を向けると、そこには自分達が用いているものとは違う乗り物がこちらに近づいてきているのが見えた。

 どうやら味方らしい。刀弥達に攻撃せず巨大ゴーレムに攻撃を放っているのがその証拠だ。

 彼らの武器は抱える必要があるほどに大きな砲。その火力をもって彼らは巨大ゴーレム達にダメージを与えていく。

 巨大な分、機動力はないらしい。巨大ゴーレムは砲撃を受けるがままだ。代わりに砲撃を幾度も放ち反撃をする。どうやら相手の攻撃に耐えながら一発の威力が高い攻撃で相手を圧倒するという戦い方を前提に設計されたゴーレムのようだ。

 そういうタイプは高火力、高機動が相性がいい。相手の攻撃を避けながら相手の装甲を抜けるので一方的に状況へと持ち込む事ができるからだ。実際、刀弥の目前ではそんな状況が展開されていた。

 蛇行や回りこみを行いながら砲撃を続けていく新手。それに対して巨大ゴーレムは向きを変えながら砲撃で応じようとするが旋回速度が相手の回り込みに追い付いていない。そのせいで砲撃の射線外に逃げられてばっかりであった。

 やがて、一体、二体と巨大ゴーレム達が倒れ動かなくなっていく。

 地響きを響かせながら木偶人形と化していく巨大ゴーレム達。そして、遂に最後の巨大ゴーレムが倒れると一帯に静けさが戻ってきた。

 いつの間にやら他の敵の姿が消えている。どうやらゴーレムが倒されるのを見て一時退却を選択したらしい。

 再び訪れた静寂を認め、武器を下ろす一同。直後、新手の人達が乗る乗り物が走る刀弥達の乗り物に並走してきた。よくよく見ると乗り物に描かれているエンブレムには見覚えがある。確か襲撃のために合流した飛空船の中に同じエンブレムがあったはずだ。

 と、言うことは彼らは間違いなく味方であるという事だ。


「お前ら、大丈夫か?」


 刀弥達の乗り物に一番近い乗り物、そこに座る男からそんな問い掛けが投げかけられる。


「ああ。おかげで助かった。礼を言う」


 問い掛けに答えたのはロアン。彼の返事を聞いて言葉を投げ掛けた男はニヤリと笑みを浮かべた。


「そうか……ところでお前ら、その様子だと作戦継続するつもりなんだよな?」


 顔にはそう確信しているにも関わらずあえて確認をとる男。その質問にロアンは力強く答えた。


「ああ、無論だ」

「なら、俺達と同じだな。一緒に向かうか」


 その提案にロアンは即座に頷きを返す。元々、連合を組んで襲撃を掛けるつもりだったのだ。同じ作戦を継続するのなら断る理由はない。


「ああ、よろしく頼む」

「なら、決定だ。じゃあ、早速で悪いが前を頼んでいいか? 俺達はちと見ての通りのデカブツの獲物ばかりでな」


 彼の言う通り、回りを見てみると確かに皆砲しか持っていない。


「わかった。俺達が前に出て敵を引きつけよう」

「助かる」


 そうしてロアンの指揮の元に陣形が組まれる。

 組み終えると同時に再び姿を現す敵達。

 こうして第二戦目が始まりを迎えたのであった。

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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