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無限の世界  作者: 蒼風
七章「明かされる全容」
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七章二話「探索」(3)

 廃棄物の山の中から飛び出してきたもの。それは人型のゴーレムだった。

 数は三十。それが刀弥達を取り囲むように立っている。

 ゴーレムの出現と同時に身構える刀弥達。一方、男はというと笑みを浮かべながら刀弥達から距離を撮っていた。


「悪いな。あんた達をここに連れてくるだけで金がもらえるって言われてな」


 そうしてゴーレムの包囲網を抜け出し、そのまま走り去っていく男。そんな男に刀弥達はとめる素振りも見せなかった。

 金を積まれてやったという以上、彼を捕まえる理由はない。それよりも問題は新手がゴーレムであるという事だ。


「どうするんだよ」

「ん~。まさか、ゴーレムがまだ残ってたとはね……」


 困ったというな声色で刀弥にそう返してくるレリッサ。どういう理由かは知らないが、彼女は向こうにゴーレムはもうないと踏んでいたようだ。

 けれども、その予想に反して大量のゴーレムが刀弥達を取り囲んでいる。

 相手がゴーレムである以上、自白させるこなど不可能だ。恐らく記録されている情報の方にも拠点に関する情報は残されていないだろう。

 こうなると別の手を考える必要が有るが、とりあえずそれも今の危機を脱してからの話である。

 ゴーレムは砲とガトリング銃を二丁ずつ携えた重火器武装が六体、狙撃銃を持った狙撃武装が三体、二刀剣の近接武装が八体に二丁のライフルを装備した通常火器武装が八体、それ以外に鳥型が五体という構成だ。

 数も厄介だが、構成の方も一見してバランスがとれており隙がない。なかなかにやりづらい相手であった。

 刀弥はレリッサの方を見る。

 先日見た彼女の戦い方は短剣を用いた近接戦法。実力の方も十分に高い。だが、それを含めても勝率の目算はかなり低かった。

ゴーレム達が腰を低くする。どうやら仕掛けてくるつもりらしい。

 反射的に刀弥達も身構える。このまま相手のペースで始められてもいい事は何もない。

 故に刀弥はこちらから仕掛けることを決意した。一気に彼は手近な近接武装のゴーレムに接近する。

 速攻の抜刀。これに近接ゴーレムは反応した。左右の剣を交差させこの攻撃を防いだのだ。

 衝撃音の後に衝撃で後退する近接ゴーレム。一方、刀弥は渾身の一撃を放った反動で足が止まった状態だ。

 そんな彼を射撃系のゴーレム達は容赦なく狙った。

 持っている装備は関係ない。どのゴーレムも持ちえる火気を用いて攻撃を絶え間なく放つ。

 一斉に襲いかかる攻撃の雨。これから抜け出す術は今の状態の刀弥にはない。

 けれども、彼はそれ程この状況に悲観していなかった。この流れは攻撃を仕掛ける直前の思考で想定したからだ。当然、その後の仲間のフォローも。

 唐突に刀弥の姿がそこから消えた。

 襲うはずだった目標がいなくなり銃弾達は何もない空を突き抜けるだけとなってしまう。

 消えた理由は簡単だ。刀弥の背中をリアの魔術が襲ったからだ。

 殺傷性を抑えた風の矢。それが彼を突き飛ばし結果、攻撃の雨から逃れることができた。

 攻撃を逃れた刀弥は突き飛ばされた反動で地面を転がることになったが、逆にそれを利用して起き上がると再び先程攻撃を仕掛けたゴーレムへと接近する。

 相手は既に防御の構えを見せており、このままでは先程の二の舞となるだけだ。

 けれども、同じことを繰り返す刀弥ではない。斬撃を放った。と、見せかけて静止。直後、交差する剣の隙間を狙って突きを放ったのだ。

 急速な変化攻撃にゴーレムは対応しきれない。どうにか剣を動かすがそれが刀を弾くよりも早く剣先が胴体を貫いた。

 停止の確認はしない。そのまま刀弥はゴーレムを押し続ける。

 直後、彼がいた場所に射撃攻撃た殺到した。

 射線は貫かれた味方を巻き込むものもあったが、ゴーレム達は気にしない。むしろ、一体の犠牲で一人を殺せるのなら安いものだとばかりに遠慮無く射撃を撃ち続ける。

 背後から刀弥を追いかけてくる射線。だが、それは長く続かない。重火器武装のゴーレム達にリアが炎弾の群れを撃ち込んだからだ。

相手を逃さぬよう広範囲にばら撒かれた炎弾。この攻撃に重火器武装のゴーレム達は迎撃の動きを見せた。手持ちの火気を全て炎弾に向けて放ったのだ。

 次々と炎弾が撃ち落とされていくが、それは逆に言えば炎弾がある限り刀弥に重火器の火力が向けられていない事を意味する。

 この間に刀弥は剣先をゴーレムから引き抜いていた。そうして未だ刀弥を狙っている狙撃銃やライフルの弾を避けながら彼は手近な重火器武装のゴーレムへと接近し刃を見舞う。

 炎弾の迎撃にセンサーの大半を使っていたそのゴーレムは刀弥の接近を認識するのが遅れた。そのまま胴体を断たれ上下に割断される。

 ここにきてようやく重火気武装のゴーレム達は刀弥の位置に気が付いた。彼等は刀弥から距離を取りつつその銃口を彼へと向ける。

 しかしそんな最中、一体の重火器武装のゴーレムが突然機能停止に陥った。

 機能停止の原因は胴体と頭部の間首の装甲と装甲の僅かな隙間に深く刺さった短剣。

 それを投げたのはレリッサだった。彼女はいつの間にやら囲いの外に脱出しておりそこから短剣を投げたのだ。

 その後は別の狙撃武装のゴーレムに駆け寄ると新たに取り出した短剣で斬り掛かる。

 装甲の隙間に吸い込まれるように入っていく短剣の刃。結果、狙撃武装のゴーレムは首を傷つけられその動きを止めた。

 新たな攻撃者の存在に自然とゴーレム達の大半のセンサーが向けられる。

 それによって生まれた彼女への無警戒。それをリアは逃さなかった。急ぎ彼女は魔術式を組む。

 生み出されたのは雷の鉄槌。それが頭上より通常火器武装のゴーレムの集団へと振り下ろされた。

 轟音とともに雷に押しつぶされるゴーレム五体。いきなり大量の味方が撃破された事でゴーレム達は今度はリアの方へとセンサーを割く。

 そんな最中、刀弥はすれ違いざまに二体の重火気武装のゴーレムを斬り裂いていた。強い踏み込みによる急接近で一体。続いて大きく弧を描いた軌道での移動の際にもう一体。

 そこへ頭上から鳥型のゴーレムが列をなして襲い掛かる。

 鳥型ゴーレムの武器は足部分に備え付けられた三刀二対のブレード。それで刀弥をすれ違いざまに切り刻もうというのだ。

 これに対して刀弥は回避と反撃を選択した。ギリギリまで鳥型ゴーレムを引きつけ直前になってサイドステップ。それと同時に交差ざまに刃を振り抜いたのだ。

 刃と己の速度で次々と斬られていく鳥型ゴーレム達。そうして全ての鳥型ゴーレムが地面へと落ちた時だった。


「ちょっと、時間稼いで」


 再びレリッサが囲いの中へと戻ってきたかと思うと刀弥達にそう告げてきたのだ。

 これに対して刀弥は斬波を放つ事で、リアは竜巻の壁を生み出すで肯定代わりの返答を返す。

 斬波は狙撃武装のゴーレムを斬り裂き、竜巻は今まさに飛び込んできた近接武装のゴーレムを五体吹き飛ばした。

 その直後、レリッサの準備が完了した。

 一瞬とも言える短い()に己を身を高速で回し、その最中に短剣を次々と投げ放つ。

 回転の勢いが乗った短剣は精確にそして深くゴーレム達の急所に突き刺さっていった。

 この攻撃によって残ったゴーレム達は全て機能停止。

 こうして刀弥達は今回の襲撃を退けたのであった。

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ただいま一章で名前だけがでた高峰麗華のショートストーリーを掲載中。01月05日:更新:零話終了
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