ノイズ
ライラ診療所での技術交流も終盤に近づいた。
診療中、ライラがジークに話しかけた。
「…実は一つお願いがありまして。」
「なんですか?」
「…私の息子のノイズを指導してほしくて…才能はあるんですが、最近は調子に乗ってまして」
「息子さんがいらっしゃったんですか!どうぞ連れてきてください。」
ライラはホッとした表情をして、助手にノイズを連れてくるように頼んだ。
1時間後…
助手に両腕を捕まえられて一人の男がジークの前へ来た。
ライラはその男の頭をつかみ強引に下げさせた。
「息子のノイズと言います。」
ノイズはわめきながら言った。
「ちくしょう。だましてこんな所に連れてきやがって!!俺はもうこんな所に学ぶことなんてないぞ!!」
ジークはその男を見て、軽くお辞儀をすると構わず治療を続けた。
その治療を見て、ノイズは言った。
「なんだい。伝説の魔術医師と聞いたからどんなに凄い医者かと思えばこんなもんか!!」
そう言ってノイズはジークと患者の間に無理やり入って患者を治療した。
ノイズはジークと同様の見事な治療を見せた。
ジークはその様子をしばらく見守りライラに言った。
「見事な治療じゃないですか?特に指導することはありませんけど…」
そう言うとライラは嬉しそうな不安そうな表情をした。
「でも…」
そう言いかけた時、助手のリースが走ってきて言った。
「大合戦があり、5000人の患者がなだれ込んできています!!」
ライラは混乱して言った。
「5000人なんて…そんな数初めてで…どうしよう…」
ジークの表情は変わりライラに言った。
「助手たちのオータム、リース、アリーをうちの魔術医師と組ませたいんですがよろしいですか?」
「…そうですね。普段やり慣れたチームでやった方が効率が上がりますね。」
こうして、オータムとジーク、ガラとアリー、ザックスとリースで組み治療を行った。
ノイズはライラの希望でジークの付近で独自に治療を行うことにした。
「次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………次………」
ノイズは見事な速さで治療して行った。
「次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…次…」
ジークはノイズの3倍の速さで治療して行った。
ノイズはそのあまりの速さに驚愕したが、
――助手とのコンビネーションがいいだけだ…俺だって慣れたらあれぐらい…――
そう心の中で言い聞かせた。
しかし、ノイズはあることに気付いた。
ノイズに治療されている患者よりジークの患者の方が明らかに重症だった。
24時間経過…
ノイズは魔力の限界が来て、どうにも魔法が使えなくなった。
「ノイズ君。2時間ほど休みなさい。」
ジークはそう言いながら治療を続けた。
ジークはノイズの3倍の速さで治療しながら、まだまだ余裕だった。
ノイズは打ちのめされながら仮眠についた。
結局2日で5000人の治療が終わった。
ジーク達は3人で3000人を請け負い実力をライラ診療所に見せつけた。