技術交流(5)
ライラ診療所にジーク達が来て2日が経った。
ライラもライラ診療所の魔術医師もジークのみ特別な魔術医師で、
他のメンバーは並のレベルだろうと思っていた。
なので、ジークの元にライラ診療所トップレベルの魔術医師を派遣し、見学させた。
そして、優秀な魔術医師には他のメンバーを組ませて治療に当たらせた。
ライラはなんで助手までついてくるのかと不思議に思ったが、
何もやらせないわけにはいかなかったので並の魔術医師と組ませた。
ライラはジークの治療を改めてみたがやはり凄かった。
重症患者はライラ診療所トップレベルの魔術医師でも1時間はかかるのに、
ジークはそれを2分かからずに治してしまう。
それを1日で何千回と詠唱できるというのだから、正に伝説の魔術医師と呼ぶしかなかった。
ライラはショックを受けて途方に暮れていたが、
他のところに回らないわけにはいかなかったので他の場所の様子も見に行った。
「えーーと、ザックス先生が治療している場所は…ここか。」
ライラはザックスが治療している部屋に入った。
ライラはそこで度胆を抜かれた。
ジークとほぼ変わらないレベルでザックスが治療している…
ライラ診療所の魔術医師は愕然とした表情でそれを見ていた。
ライラはザックスに思わず尋ねた。
「ザックス先生…あなた一体…」
「実は医療先進国最高研究所副所長だったんですよ!」
ザックスはこの手の質問には慣れているのでサラッと答えた。
「えっあの高名な!!」
ライラもそばにいた魔術医師もただただ驚嘆するしかなかった。
ライラはジークを見た時以上にショックを受けたが、
もうこれ以上逸材はいないだろうと願いながらガラを探した。
そして、脆くもライラの願望が崩れ去った。
ガラもまた、ザックス、ジークと同様のレベルで治療を行っていた。
ライラはショックでフラフラした。
こうも違うものかと…なんで北と南なだけなのに、
こんなに医療魔術のレベルがかけ離れているのかと…
しかし、もう一つ嫌な予感がした…というより疑問が湧いた。
あの助手たちも凄いのだろうか…と
ライラはフラフラしながら助手の仕事を見に行くと、
魔術医師たちは助手のおかげで普段の10倍の速さの回転率で患者の治療ができていた。
軽傷であれば、助手たちが治してしまい、そこでお金をもらい素早く帰らしていた。
もともと並の魔術医師たちには重症患者を任せていないので、
ほとんど全ての患者が助手の治療だけで終わっていた。
しかし、助手は並の魔術医師を遊ばせるわけにはいかないので、適度に軽症患者を回していた。
ライラは自分の診療所のレベルが全然低いことにショックを受けて、凄く恥ずかしく感じた。