マネー
ある夜、オータムが帳簿を見ながら、悩んでいた。
「うーーーん。おかしいなぁ…」
ロスがそれを見つけて話しかけた。
「どうしたの?」
「いや…どうも最近赤字続きで…」
「この診療所は助手も弟子も魔術医師も増えたもんな…給料も破格だし。」
「まあ…ここの魔術医師は世界トップクラスですから。人材が逃げないためにも給料の設定には目をつぶるとして患者の数が最近減ってるみたいなんですよ…」
「いや…前より増えてるくらいだけど。」
「でも…ほら!!患者の収入が明らかに減ってる。」
「…それ…診察料自体減らしてるからじゃない?」
「いや、それはないですよ。私が経理の責任者なんですから!」
「…ごめん…」
「はい?」
「ごめん!!俺が診察料大幅に減らしちゃった…」
「えーーー!!な、なんで勝手にそんなことするんですか?」
「いや、勝手じゃないんだけど…兄さんと相談してね!その…兄さんは反対したんだけどちょっとここの診察料が高かったもんで口論になって…結局兄さんが折れてくれて…」
「この診療所は土地も都内の一等地で馬鹿でかいし、病院も最高の設備で作られてるんですよ!!税金だってめちゃめちゃ高いし…あれくらいの診察料が貰えないと、いつか破産しちゃいますよ!!」
「えっ!!だって、前見た時は小国の国家予算くらいあったのに…」
「病院を改築して以来大赤字がずっと続いてるんですよ!!それでも、弟子や助手を育てるためだと思って…いつかは育って黒字になると思ってたのに…この料金設定じゃ本気でヤバイですよ!!」
「ど、どうすれば!?」
「うちは慈善事業でやってるんじゃないんですから!!すぐ料金を高くします!!」
「そ、そんなぁ…あんな料金じゃ誰も来られなくなっちゃうよ!!」
「お金を持ってない人は分割払いでもいいから払ってもらいます。…道理で最近分割で払いに来る人が少ないと思いましたよ!!」
「…はい。わかりました。」
ロスがトボトボ歩いていると、ジークが話しかけた。
「どうした?何落ち込んでるんだ?」
「いや、それがさ…」
「こんな時にお前が元気になるジョークが一つあるんだけど…」
「…はぁ…」
ロスは大きくため息をついた。