女性たちの休日(午後)
「ひまねぇ…」
「暇だわ…」
「暇ですね…」
「あっ。あの人ちょっとかっこよくないです?」
「そーねー。まあまあかな。」
「ちょっと、暗そうじゃない?」
「オータムさん…理想高すぎですよ。」
「何よ!その嫌味は!!」
「じゃんけんで負けた人があの人に声をかけるってのはどうです?」
「えーやだぁ。」
「別に私あの人に興味ないもん。」
「問答無用!じゃあんけん…」
「ちょっと!」
「やだやだ!私出さないからね!!」
「ポン!!」
「…」
「…」
「はい。オータムさんの負け―。」
「行かないって言ってるじゃないの!」
「じゃあ、なんで出すんですか?」
「ううっ」
「オータム負けたんじゃしょうがないんじゃない?」
「アリー…勝ったからって…」
オータムは渋々座っている男に声をかけに行くことになった。
「あの…」
「はい?」
「今って…何やってるんですか?」
「ああ…ちょうど暇になったんで本でも読んでたんですよ。」
「そーなんですか…」
「…」
「…」
「…」
「…失礼します…」
オータムは顔を真っ赤にしながら戻ってきた。
「全然会話弾まなかった…」
「見てて分かりましたけどね。もっと自分から話題振らなきゃ!!」
「何を話していいのやら…」
「分かりました!!私が手本見せますから!!」
「…やめとけば?」
「なんですか!アリーさん。私じゃ無理って言うんですか!?」
「別にルックスとかは問題ないんだけど、あなたってナンパ下手すぎるじゃない?」
「し、失礼なこと言わないでください!!行きますよ!!」
今度はサリーが座っている男の元へ行った。
「ハーイ。何してるんですか!?」
「本を読んでたんですよ。」
「軟弱者!!」
「へ…」
「なーんちゃって…あはは。」
「…?ははは。」
「何の本読んでたんですか?」
「『風の星』っていうタイトルなんだけど…」
「あー!私読みました。なんで主人公死んじゃうんですかねぇ。まさか、マコが犯人だとは!」
「な、なんで小説の結末はなしちゃうんですか!まだ、読んでないのに!」
「あ、すいません。まーでも対して面白くなかったし、これ以上読んでもねぇ…」
「もーいいです!さよなら!!」
男は立ち上がり去っていった。
サリーはすごすごと戻って行った。
「どうだった?何か結構話してた気がするけど?」
「…ちょろいですね!!あの男はもう私の物ですよ!!」
「ホントに!なんかメチャメチャ怒ってたような気がするけど…」
「全部計算のうちです!ご心配なく。今度ここに来た時が私の実力を思い知ることになりますよ!!」
「ふーん」
その男は今後この喫茶店に現れることはなかった。