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そうだ弟子をとろう

「弟子欲しいな…」

「ジーン先生…いきなりなんですか?」

「よし!弟子を募集しよう!!」

「また…無駄なことを。」

「無駄なことなんかあるもんか!君らみたいに助手じゃなく俺のような魔術医師を目指す優秀な弟子を育てるぞ!そして…そしてこの地獄から脱出してラーマさんと…」

「…まあやってみたらいいんじゃないです?どうせ無理だと思うけど…」

さっそくジークは広報活動を開始した。

さすがに、伝説の魔術医師と評判が高いだけあって瞬く間に30人、腕利きの魔法使いたちがやって来た。

「ほらほらほら、集まって来たでしょーが!さて…早速授業に入る。とは言っても教える時間はまったくない。私が実際に治療するので、それを見て勉強なさい。」


修行初日


早速、300人ぐらいが立て続けに来て、ジークはどんどん治療を行っていった。

有能な魔法使いでも1日に10回魔法を使えば、足腰が立たなくなる。

それをジークは1日に3,000回唱える。場合によってはそれ以上…

3人の魔法使いは余りのジークの凄さに圧倒され、別の道を志したようだった。



残り27人…



修行10日目


「オータム…いつの間にか弟子も15人になっているんだが…俺の教え方が悪いのかな…」

「いや、テラッサ地方の大合戦で2000人の患者が来たじゃないですか…そして、先生の発狂した様子を見てたじゃないですか…さらに、私が先生のことボコボコに殴ったじゃないですか…終いには、拘束して無理やり治療させたじゃないですか…多分その光景を見たら誰もやりたくなくなりますけどね。」

「…皆!この一週間に起こったことはそうあることじゃないぞ!1か月に1回あるかないかだからな。」

ジークのその言葉を聞き、1か月に1回あの地獄があるとわかった弟子3人が違う道を志した。



残り12人…



修行1か月目


「君達2人は、1か月間俺によくついてきてくれた。その…この1か月は特にひどかったんだ。あの後また、でかい合戦が2度あっただろ!?1か月に3度の大合戦はなかなかないんだ!半年に1回あるかないかなんだ!」

「ジーク先生…彼ら疲弊しきって寝ています。」

「あとは、最終試験を残すのみだな…」

「最終試験?」

「10日後に…その…俺抜きで治療を行う!もちろん通常の日だ。そこで1日…いや半日こなせれば…晴れて一人前の魔術医師の証よ!」

「…その日はどこに?」

「いや…その…あっ!たまたまその日はラーマさんと食事に行く日だった!いやー偶然だけどちょうどいいやなー…あはは…」

「…はーぁ…」



残り2人



修行1か月と10日


「お帰りなさい…どうでした?患者さんを置いての食事は?」

「…まあ…そう棘ある言い方すんなよ。二人は?」

「疲弊しきってますよ!二人とも限界を超えてよく頑張ってくれました。」

「…顔面がボコボコだけど…」

「しぼりだしてもらわないと患者の命に関わりますから!」

「…鬼…」

翌日二人に魔術医師認定章を渡した。(魔術医師は実力を認めた弟子にのみ認定証を渡せる)

二人ともどことなくオータムを恐れていた。(彼女が手を振り上げたらビクッと体が反応していた)

その次の日、その一人から旅に出るので探さないでくださいと置手紙が置いてあった。



残り1人



修行3カ月目


「アッサムはよく続けてくれているな…お前は最高の弟子だ…」

ジークは涙ながらにそう言った。

「せ…先生…もう寝かせてください…げ…限界です。」

「し…しっかりしろ!!寝るとまたオータムにボコボコにされるぞ!」

「ひ…ひーぃいん」

「泣くな!こんな大合戦は中々ないんだ!!4000人の患者は俺も経験したことが…5回しかない。」

「もう限界です!先生!俺を殺してください!!」

「誰が可愛いお前を殺すんだ!お前も恋をすればそんな気はなくなるぞ。生きる希望をなんとか見出すんだ!」

「先生!間もなく患者500人到着します!!」

「もう少し…もう少し休ませてやってくれ!俺が俺がその分頑張るから!!」

「せ…せんせえぇ…」



残り一人


修行3カ月と6日目(3520人の治療完了)


「あ…アッサム!頼む!頼むから殺してくれー!もう嫌だ!患者なんか皆死ねばいいんだー!!」

「先生…アッサムはもういません…さすがに限界の限界の限界が来ました。あなたが、あれ以上やらせたら精神に異常をきたすと判断したじゃないですか…」

「嘘だ嘘だ嘘だ!アッサム!戻ってきてくれー!!!俺を…俺を殺してくれ!!」

「ふう…しかたない…あれはやりたくないのだけれど…」

「いやだいやだいやだ!あれだけは勘弁してくれ!!たの…」



残り0人



「とうとう誰もいなくなっちゃったな…」

「ジーク先生…そう肩を落とさないでくださいよ。」

「いや…アッサムという最高の弟子に巡り合えたんだから俺は悔いはないよ。」

「…彼も素晴らしい才能の持ち主でしたね。」



アッサムはその後魔術医師として北の方で活躍することになる。




魔術医師ジークの苦闘は続く

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