追憶
「…」
ジークが一人考え込んでいるのを見て、オータムが声を掛けた。
「どうしたんですか?ジーク先生。」
「いや…今頃ラーマさんはどうしてるんだろうと思って…」
「今更どうしたんですか?」
「…俺のことどう思っていたんかな…」
「だから今更どうしたんですか?」
「会いたいな…」
「…会えばいいんじゃないですか。」
「…うん。ちょっと会ってくるわ。」
「仕事終わってからにしなさいね!!」
仕事終わり…
ジークはラーマが働いている雑貨屋に行った。
ドア越しにラーマは笑顔で客に接客しているのが見えた。
―やっぱり可愛いな―
ジークは改めて思った。
そしてジークは雑貨店に入った。
ラーマは最初驚いた顔を見せたが、すぐに笑顔で言った。
「お久しぶりです。」
「久しぶり。」
「お元気でしたか?」
「…うん。ぼちぼちね。ラーマさんは?」
「はい。元気でやっていますよ。」
「そう…よかった…あっ今日は買いたいものがあって…」
そう言ってジークは適当に雑貨を買い込んだ。
その間、ラーマとの会話も弾んだ。
帰り際、ラーマがジークに言った。
「ジーク先生…私…結婚するんです。」
「…そっか…おめでとう。」
「ありがとうございます…」
「あのさ…いや…なんでもない…幸せにね。」
「はい。」
ジークは雑貨屋を去った。
翌日…
オータムがジークに尋ねた。
「結局、なんでラーマさんのところにいったんです?」
「別に理由はないよ…昔好きだった人に会いたくなって。」
「どうでした?久しぶりに会って…」
「きれいな人だって思ったよ。」
「だから好きになったんでしょ?」
「まともに顔が見れたのは、最初の数回だけだった気がする。あとはドキドキしてな…」
「恋愛経験小学生並ですものね。」
「うるさい。お前もだろ!」
「…」
「…」
二人してため息をついた。