赤ん坊
いつものように診療が終わり、オータムは後片付けをしていた。
すると、いすの下から毛布にくるまった赤ん坊が出てきた。
「えらいこっちゃ…」
オータムは呟いた。
「どーする…」
「どーしましょう…」
「どーしよーか…」
皆がその赤ん坊の前に集まり、悩んだ。
オータムがその赤ん坊を抱いて、あやしている。
ジークがその姿を見て、呟いた。
「可愛いな…」
「本当ですね。私もこんな可愛い赤ちゃんを産める時がくるのかな…」
結局、その子は国の保育所に預けることが決まった。
オータムは少し悲しそうに言った。
「今日は…私がこの子と一緒に寝てもいいですか?」
その夜、ジークはなぜだか眠れなかった。
オータムと赤ん坊のことが気になって、部屋の前まで行った。
ノックしようとしたが、すごく下手くそな…でも優しい子守唄が聞こえてきた。
ジークはそっとドアを開けた。
オータムがジークに気づいた。
ジークはオータムの横に座った。
オータムは赤ん坊の顔を見ながら言った。
「やっと寝ました…」
「可愛い寝顔だな。」
「はい。」
「…大丈夫か?」
「何がです?」
「なんか…様子変だったから。」
「…」
「…」
「ジーク先生は知ってますよね。私が孤児だったことは…」
「うん。」
「両親に捨てられて、それからはずっと一人で生きてきました。この診療所に入った時もずっと一人だって思ってました。」
「…うん。」
「でも…やっぱり7年も一緒に過ごしていると、みんなが本当の家族のように思えてくる時があるんです。」
「…うん。」
「でも、みんなには本当の家族がいて…そんなところを見ると胸が…キューッと痛くなって…」
「うん。」
「…」
「オータム…でもな…」
そうジークが言いかけるとジークの首にこつんとオータムの頭が当たった。
ジークはオータムをそっとベッドに寝かせて部屋を出ていった。
結局、その子の母親は赤ん坊の元へ戻ってきた。
オータムはめちゃめちゃその母親を叱り、最後には少しさびしそうに赤ん坊を返した。