親父ーー!
診療所に見知らぬ年配の男性が入ってきた。
助手のアリーはその男性に聞いた。
「こんにちは。どうかされましたか?」
「あの…ジークとロスの父親のジャスという者ですが…」
「えっ!!ジーク先生とロス先生の!?すぐに連れてきますね!!」
10分後…
「父さん、一体どーしたんだい?」
「いやーたまには息子たちの顔をみないとと思ってな…元気だったか?」
ロスとジークは顔を見合わせた。
「父さん…何を企んでるんだい?」
「いや…何にもないよ!本当に今回はお前たちの顔を見に来ただけだよ。」
「そうか…」
「あっ!そうだそうだ…ついでに母さんからこれを頼まれていてな…」
ジャスは山のような絵を呪文で出した。
「…これは?」
「おまえらのお見合い写真だ!!みんないい人たちばっかりだぞ!!」
「…どうせそんなこったろうと思ったよ!!」
「よし!ロス、お前に任せる!」
「そんな…卑怯だよ兄さん!!順番から言ったら兄さんが先だろ!!兄さんがお見合いしなよ。」
「いや、俺はいろいろ忙しいしな…」
「俺だっていろいろ忙しいよ。」
2人がそうやって揉めていると、ジャスはぴしゃりと言った。
「二人とも1つずつ選んで、お見合いしなさい。」
「…」
ロスとジークはどの人がいいかをお互いに探すことにした。
「ロス…この子なんかタイプなんじゃないか?」
「うーん。趣味が全然合いそうにないなぁ…兄さんこの人は?」
「うーむー。お嬢様育ちがぬけてなさそうだもんな…」
「…」
「…」
二人とも中々決まらなかったが、お互いに2枚絵を選んで会うことにした。
レストラン「スプリングフェアリー」にて…
ジークはそわそわしながら待っていた。
すると、絵とは大分…いやかなり違う女性が目の前に立っていた。
ジークはさすがにこの人はないなと思い、また、外のドアの方を気にしだした。
しかし、その女性はジークの席にドシッと座った。
その女性が座った瞬間、ジークの持っているコップがかすかに震え始めた。
その斜めに座っているロスはとりあえず胸をなでおろした。
その女性は、ジークに向かって言った。
「…ロス先生ですか?」
その瞬間、ロスの椅子がガタッと音を立てた。
かたや、ジークは笑顔でロスの席へその女性を案内した。
「ロス先生…よろしくお願いします。」
「…こちらこそよろしくお願いします。」
ロスの持っているコップもまたかすかに震え始めた。
「…双子の姉も、もうすぐ来ると思いますので…」
今度はジークの椅子がガタッと音を立てた。
結局4人は会話も弾みいい友達になれたが、ロスとジークはその絵と全然違ったことは凄く納得がいかなかった。