弟子たちの様子
弟子たちが診療所に来て、そろそろ1年が経とうとしていた。
優秀な弟子たちはすでに重症患者の治療も行っていた。
しかし、優秀であればあるほどジークやロスなどとの壁が大きく立ちはだかっていた。
ラリーもその一人だった。
ジークがラリーの治療に付き添っているとき、ジークがラリーに対して言った。
「見事だ。お前にはそろそろ魔術医師の免許をあげてもいいかもな…」
「…どこが見事なんですか。先生は同じことが1日に何千回とできるじゃないですか。僕はこの1回だけで魔法力をほとんど使ってしまいました。」
「バカ!俺やロスがどれだけの患者を治してきたと思っている!君らとは治している患者数が違うよ。君たちも修羅場をくぐっていけば俺たちぐらいにはすぐになれるよ。」
「そうでしょうか…」
「絶対だ!」
ラリーが出ていった後、そばで見ていたオータムはジークに言った。
「ラリーを引き留めようと必死ですね。」
「ラリーは優秀だからな。自分の限界がどうしてもわかっちゃうんだろうな。」
「自分の限界を知っても、続けろと?」
「あいつが知ってる限界なんてまだまだ甘いよ!限界はまだまだ先にあるんだ。それを知ったらきっとどっちが上かなんて気にならなくなるよ。」
次に教える予定だった弟子のサシャが入ってきた。
「ジーク先生!私だってそろそろ重症患者やれます。」
「ダメ!!絶対だめ!!」
「先生は私の才能に嫉妬しておられるんだわ!なんて醜い…」
オータムにジークが呟いた。
「ほらね。こーゆー何も考えてない楽天家が残ったりするんだよ。」