ザックスとリース
ある夜、ザックスは辺りを見渡しながら、都会のベンチで座っていた。
そこに、助手のリースが来た。
二人はあたりを見渡して誰もいないことを確認すると手をつないで歩き出した。
喫茶店で食事をしながら二人で雑談をした。
「まさか、君とこんなことになるなんてね…」
「はい。私もすごく驚いています。」
「でも…当分みんなには知られたくないよね。」
「同感です。知られたら面倒なことになりそうだし、ザックスさんは人気がありますから!」
そういうリースの個人的な見解を言ったが、ザックスはまんざらでもなさそうだった。
「でも…ザックスさんはいつかは…国に帰ってしますんですよね?」
「うん…でも当分先の話だから…ここで学ぶことは多いしね。」
「どんなこと?」
「まず、ジーク先生だね。ロス先生と肩を並べる人がこの世にいるなんて驚きだったよ。それに、ガラ先生も凄い人だね。あれだけの魔術医師はうちの国でも居るかいないかだね。本当に凄い場所で働かせてもらっているよ。」
「そうですね…本当に凄い人たちですよね。ザックス先生も含めて…」
「こいつー!」
「えぇー!本当のことだもん!」
「あと、なにより一番の理由は目の前にあるからね。」
「もー!!!何言ってるんですか!?」
「いやいや、真実だから仕方ないよー。」
ラブラブな二人であった。
3か月後…
ロスがザックスの家へ行った。
ノックをすると、ザックスが大きな声で言った。
「カモーーーン!!」
ロスは部屋に入ると、まず、玄関にはバラの花びらがまき散らされていた。
奥の部屋に入ると、ザックスが裸で仁王立ちして待ち構えていた。
ロスは面を食らって叫んだ。
「お、お前!何やってんだ!!早く服着ろよ!!!」
「す、すいません。まさか、ロス先生だとは。」
「誰がくると思ったんだ?」
「…いや、実はいつも僕は裸で過ごしていまして…」
「…で、裸で人を出迎えるのか!?」
「…たまには皆を驚かせたくなりまして。」
「…変な趣味だな…辞めた方がいいよ。」
「…はい。」
「バラの花びらがまき散らされているのも趣味なの?」
「…バラの花がとにかく好きなんです!!好きで好きで!」
「ふーん。」
「と、ところで今日は何の用事でいらっしゃったんですか?」
「いや、そーいえばザックスの家に行ったことなかったから。で暇だったから。」
「…そーですか。」
「何か予定あった?」
「いえいえいえ!!何もありませんとも!」
ロスはあたりを見渡した。
「化粧道具なんかが置いてあるけど…」
「…!!そっそれは…」
「自分で使うのか?」
「…は、はい。」
「えっ!本当に自分で使うの!?冗談で言ったのに…」
「…実は女装が趣味なんです。」
「そ、そうか…まあ趣味は人それぞれだしね。てっきり女性と暮らしているのかと思ったけど。」
―しまった―
ザックスは今頃気がついた。
別に相手がリースだと気づかれなければ女性と暮らしていることを隠さないでもいいことを。
しかし、ザックスはとんでもなく強情な人間なので今更訂正はできなかった。
ロスは言った。
「じゃあ、そろそろ帰るわ。」
「は、はい。あのロス先生…このことは…」
「わかってる。誰にも言わないよ。」
「本当にありがとうございます。」
ロスは帰って行った。
30分後…
ザックスの家に誰かがきた。
ノックの音がしたのでザックスは言った。
「カモーーーン!!」
ザックスが裸で仁王立ちしていると、扉から人が入ってきた。
なんと再びロスだった。
「ちょっと忘れ物して…だから裸で出迎える癖は治せって。」
「も、申し訳ありません…我が国の伝統でして…」