記念日(1)
「オータム。1週間後ってどうする?」
「えっ!もしかして…覚えてたんですか?」
「え、うん。一応、ロス、ザックス、バラ先生、ガラ先生集めてやろうと思ってるんだけど…」
「いや…本当にありがたいですけど、みんなに集まって貰うほどのことでは…。」
「じゃあ、俺とオータムだけでいいか?」
「ええっ!は、はい!!わかりました。」
「時間は…19時くらいでいいかな?」
「…わかりました。楽しみにしていますので。」
「えっ?ああ、楽しみだよな。場所は当日言うから。じゃあそーゆーことで。」
オータムが部屋を出ていった後、ジークは呟いた。
「新助手の面接が楽しみなんて…やっぱりオータムたち助手の仕事は大変なんだな。」
一方、オータムはニコニコしながら廊下を歩いていた。
すれ違う助手のアリーがオータムに尋ねた。
「オータムさん、何かいいことあったんですか?」
「えっ!いや…実はジーク先生が1週間後のことを覚えててくれててね。」
「1週間後?…その日って何の日でしたっけ?」
「いや…完全にプライベートなことなんだけど、1週間後は…私がこの診療所で勤めて7年目なのよね。」
「へぇぇ…そんな日を覚えてるなんて…ジーク先生やりますね!」
「毎年やってるわけじゃないんだけど、1年目、3年目はロス先生が主催でやってくれてね。5年目はサリーがやってくれてたから実はひそかに期待してて…」
「なんにしても、嬉しいですよね。」
「うん!」
オータムは無邪気な声でうなずいた。
6日後…
ジークと助手が診療室で治療していると、助手がジークに話しかけた。
「ジーク先生!明日ですね。」
「明日?ああ、オータムに聞いたの?そうだよ。」
「オータムさんの記念日を覚えてるなんて、中々やりますね?」
「記念日?何の?誕生日なら覚えてるけど…」
「えっ!だって明日はオータムさんがこの診療所に働いてちょうど7年目の日でしょ?」
「…何それ?明日は新助手の面接日だよ。」
「…!!もしかしてオータムさん凄い勘違いしてるかも…」
「そーかー。だからオータムと話した時、嬉しそうにしてたのか…」
「なんでそんなに冷静なんですか!?このままじゃオータムさんがっかりするじゃないですか!」
「しょーがないじゃん。勘違いなんだから!正直に話せばわかってくれるだろ。」
ジークは休憩時間にオータムの部屋へ行った。
ジークが部屋に入ると、オータムはいなかった。
しかし、いかにも高級そうなドレスがきれいにハンガーに掛けられていた。
ジークはすぐにオータムの部屋をあとにし、診療室に戻り、アリーに言った。
「どーしよー…めちゃめちゃ気合い入ってる。」
「どーするんですか!どーするんですか!!どーするんですか!?オータムさんめちゃくちゃガッカリするじゃないですか!?」
「でも!…だいたいそんな日おぼえてるわけないじゃん!!」
「…最低」