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恋来い恋

「次だ!次連れてこい!!」

魔術医師ジークはいつもの通り、乱暴な口調で治療していた。

「次の患者が今日は最後ですよ。ラーマさん女性23歳です。顔を火傷してしまっています。」

そして、患者のラーマが診療室に入ってきた。

初対面で、ジークは瞳がきれいな人だなと思った。

そして火傷を見て、呪文を唱え始めた。

すると皮膚が素早く再生していき、非常にきれいな顔に戻った。

ジークは、そのラーマの顔を見るとドキドキして顔が真っ赤になった。

ラーマは鏡を見て、涙を流しながら言った。

「ありがとう…ありがとうございます。」

ジークは照れながら言った。

「い…いや医者として当然のことだよ。と、ところで明日の最後に診察をもう一回したいんだが構わないかな?」

「は、はい。それはもちろん…しかし、先生はほとんど1回の治療で完治させて2回はなかなかないと伺いました。私はもしかしたら重大な病気なのでしょうか?」

「いや!決してそんなことは…念には念を入れてね。女性の顔は治療し慣れてなくて後で顔に跡でも残ったら大変だしね!あはは…」

「そういうことなんですの。患者の数も相当だと聞いています。それなのにそんな風に細かく気遣って下さって…尊敬いたします。」

「いやー、医者として当然の責任だよ。」

助手のオータムがこの一連の会話を聞き、笑顔でジーク囁いた。

「堂々と職権乱用するなんていい度胸していますね。」

「な…なにを言っているんだ…ところで君達助手は明日は来なくても大丈夫だよ。」

「えっ!本当にいいんですか!?」

「ああ!本当さ。たまには君たちも外でデートしてくるといい。いい若い女性が青春を無駄にしちゃいかんよ。」

「ありがとうございます!みんなにも伝えてきますね。」

オータムは嬉しそうに走って行った。

ジークはこう考えていた。

-よし、買収成功!これで助手は黙らせた。助手なしじゃ明日はきついがこれを乗り切れば二人きりでご飯でも…-



翌日…

「次の人!入ってきて!!…なに!歩けない!?ああもう…」

助手がいないので予定の3分の1もはかどらない。

これはマズイ…ジークは涙目になりながら、治療した患者にオータムを連れてくるよう言った。

オータムすぐに駆けつけてくれた。そして、ため息をついて言った。

「なんなんですか!?あなたは!!…まあ予想はしていましたけど…」

「うるさい!うるさい!!俺だって恋ぐらいしたいよ!1日22時間休みなしで患者の命救ってんだ!好きな女とご飯に行きたいと思うのは罪ですか!?当然の権利だろ…」

「はぁー…わかりましたよ。診察では私は席を外しますよ。だからそれまではしっかりやって下さいよ!」

「え!本当に!?わかった!よーしやったるでー!!」

それから、2倍くらいの速さで診察を終え、残るはあと二人になった。

その時、もう一人の助手サリーが走ってきた。

「せ、先生、シグタル平地で合戦があり、100名の患者がこっちに向かっています。」

「そ…そんな!せっかくここまで頑張ったのに…」

オータムがため息をついて言った。

「次!ラーマさん順番変えて申し訳ないけど来てくださーい!」

「オータム!お前はなんていいやつなんだ…」

「…5分だけですよ!男なんだから堂々と交際申し込むならしなさいよ。」

そして、ラーマが入ってきた。

ラーマの顔を見るとそれだけで元気が出た。

-い…いかん!ここでフラれたら絶対あと100人はこなせない!-

ジークはそう思い、言葉を押し殺した。

帰り際、ラーマはジークに向かって言った。

「先生…また時間がある時にご飯でも食べに来ませんか?」


魔術医師ジークはたまには恋もする

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