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ガラとバラ

ある診療中、助手のアリーがジークに尋ねた。

「オータムさんとジーク先生って知り合って何年になるんですか?」

「なんだよ、いきなり…そーいやもうずいぶん経つな。」

「診療所を始めたのはいつ頃だったんですか?」

「それは、もう10年ぐらい前だったと思う。」

「オータムさんはそれよりも…」

「いや、後だったな…思い出した!!今年が20歳だろ!7年前だよ。」

「当時のオータムさんてやっぱり仕事できたんですか?」

「いやー、何やってもダメでね。俺は最初は弟子だったんだけどね、何度も先生に『辞めろ』って怒鳴られてたもんだよ…」

「へえぇ…そうだったんですか…」

「だけど、あいつの凄いところは辞めないで、次の日には怒られたことを忘れないで一つ一つ治していったところだな。それで今のオータムが出来上がったってわけ。」

「なんか…ためになる話ですね。ジーク先生が弟子の時の先生は今どうしてるんですか?」

「さあてね…5年前に魔大戦が勃発してね、軍に魔術医師を徴収されたり、逃げちゃったりで診療所から先生が1人消えて、2人消えて…ある夜誰もいなくなっていたってわけ。」

「…」

「途中までロスにも手伝ってもらってたんだけど、あいつの留学があってそれからはずっと一人で魔術医師やってたな…オータムはずっと残ってくれたけどその時の助手も全員辞めちゃったな。」

「…」

「なんか…しんみりしちゃったな…さあ仕事仕事。」


ある診療中…


オータムが、ジークの部屋に入ってきた。

「ジーク先生…ガラ先生が…戻ってきました…」

「ガラ先生が!…すぐ行く!!」

診療所に行くと、一人の男が廊下を見渡していた。

「ガラ先生!!」

「オータム、ジークか…二人とも立派になったな。」

「軍の医療施設の勤務は終わったんですか?」

「ああ…ひと段落ついたよ…」

「あの…奥さんは…」

「元気になって、今では家族ごとこの町に引っ越してきたよ。」

「てことは…」

「ああ。この町でまたお世話になるよ!!」

「やったー!」

ジークとオータムはガラに抱きついた。二人とも目には涙を浮かべていた。

二人が抱きついていると、後ろからひょこっと背の小さな男が出てきた。

「バラ!!てめー何しに帰って…」

そう言いかけたジークをオータムが涙目でジークを制止した。そして、目で訴えかけた。

「…くそっ!バラ先生!おかえりなさい。」

そう答えたジークをオータムは精一杯抱きしめた。

「…いやあ、まあ俺がいれば1000人力だからな!」

バラは得意げに話しかけてきた。

ガラがジークに囁いた。

「許してくれ。あいつも俺も苦しんでいたんだ。あんな戦争が起きて正気でずっとやってこられたお前が凄すぎるんだよ。」

「ガラ先生はバラとは違います。最後までこの診療所に残ろうとしてくれたじゃないですか。あいつは…あいつは…」

「…すまない…」

「なんでガラ先生が謝るんですか!…」


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