ある夜に…
「オータム…この後時間ある?」
「はい。なんですか?」
「ちょっと食事に付き合って欲しいんだけど…」
「えっ!もっもちろんいいですけど…」
「ほんとに!?あーよかった。デートの下見したかったんだよね!」
「…」
高級レストラン「秋晴れ」にて…
オータムとジークはテーブルに座り、高級そうな料理が運ばれてきた。
「ふーん…なかなかよさそうな雰囲気だな。料理もおいしいし。」
「ラーマさんと食事するの初めてじゃないんでしょ?今更下見なんかしなくても…」
「いや…そろそろアレかなと思って。」
「アレって…あ、あーアレですか…そうですよね…もう長いですもんね…」
オータムはワインを一気飲みした。
「まあ…そろそろな…俺もいい年だしな。けじめつけようと思ってな。」
「…おめでとうございます。」
「いやぁ…まだオッケーもらえたわけじゃないけどな!」
「…そーですね…頑張って下さいね。」
「おー!まずは告白しないと始まらないしな!」
「…告白?プロポーズじゃないんですか?」
「プ、プロポーズ!?おいおい気が早すぎるだろ!」
「もしかして…まだ付き合ってもないんですか!?」
「…」
「もーなんなんですか!!驚かせて!いい大人なんですから告白なんてもうしてるかと思ってましたよ!」
「…悪かったな!俺はお前と違って恋愛経験が少ないんだよ!」
「何言ってるんですか!私だってほぼ皆無ですよ。だいたい、15歳からあなたと働いてろくに休みなんか貰えなかったじゃないですか!」
「…そーだったっけ?」
「そーですよ!」
「そーかー。オータムには苦労かけたな…」
「まだ全然忙しいんですけどね…」
「…あのさ、オータムはさこの仕事を辞めて逃げ出したいって思った時はない?」
「そんなのないに決まってるじゃないですか!」
「…俺はいつも思ってるよ。」
「知ってますよ。いつも叫んでるじゃないですか。」
「うん…毎日毎日無数の患者たちばっかり救っていって、時間があっという間に過ぎて…本当に嫌になる時がある。」
「…はい。」
「オータムは本当に凄いよな。…それだけ。」
「私だって…患者たちだけのために頑張ってるんじゃないですよ。」
「…でも、給料だってもう使い切れないほどあるだろ?患者以外のために働く理由なんてあるの?」
「…自分のためですよ。…私、先生の逃亡を阻止するじゃないですか…それはね…」
「それは?」
「私の…私の尊敬する先生だから…逃げてほしくないんです。」
「…」
「お互い苦労しましたね。」
「ああ…長いような短いような…やっぱり長いなぁ…」