さあ授業を始めよう
とうとうジークは念願の病院を設立した。
総勢50人の魔術医師候補を迎え、建物も新しく立て直した。
「今日は最初の授業か…。」
「先生!前に弟子募集した時はみんな辞めちゃったんですから今回は気を付けてくださいよ!」
「わかってるよ。今回は余裕がありますから!」
「えーっ今日は切り傷を治す魔法をやります。できない人!」
誰も手を挙げなかった。
「じゃあ切り傷がある患者を回してもらうから、治してください。」
軽傷患者が50人ぐらいやって来た。
「じゃあ、一人目よろしく!」
まず、マザコンのチャがチャレンジした。
「よ…よろしくお願いします。」
チャは魔法を掛けた。すると、切り傷はみるみるうちに治っていった。
オータムは感心して言った。
「見直しましたよチャさん!やればできるんですね!」
ジークはその光景を見て言った。
「お母さん…遠くから魔法かけちゃダメでしょ…そこにいるのはわかってるんですよ!」
するとチャの母親がチャの隣に突然現れた。
チャの母親は恥ずかしそうに言った。
「申し訳ありません…ついついチャちゃんが心配で…」
次の人はおじいちゃん魔法使いのジャシャーンが出てきた。
どうやら魔法を忘れたらしい。
次の人は黒魔術のサシャが出てきた。
サシャが患者に魔法を掛けると、なんか傷口が広がっているような気がした。
「…この人可愛いから少し意地悪したくなっちゃいました…フフフフ」
オータムにジークが囁いた。
「やっぱ…この3人はダメかな…」
「だから言ったじゃないですか!ちゃんと責任とって立派な魔術医師に育ててくださいよ!」
一部の例外を除き、ほぼ皆軽傷を治す呪文はクリア-できた。
次に重症患者達を連れてきた。
「この患者の怪我を誰か治せる人!」
43人が全員試したが、駄目だった。
7人の有能な魔術医師候補は治すことができたが、そのうちの3人は疲労でフラフラだった。
―なんてこったい…今回は余裕があるのに人材は不作だ…-
ジークとオータムはひそかに思った。