採用面接
「次の人!」
40代の女性と20代の男が入ってきた。
「いや…あのひとりだけなんだけど…」
「私は付添です。採用して頂きたいのは息子なんです。この子はやればできる子なんです。ほら、チャちゃんからもご挨拶して!」
「…チャです。よろしくお願いします。」
オータムがジークに耳打ちした。
「ジーク先生…親同伴はどうかと思いますよ。だってあの人もういい大人じゃないですか!?」
「いや…やればできるっていうお母さんの言葉を…俺信じようかと思うんだけど…」
「だから…ただのマザコンじゃないんですか!?」
「採用。」
「ありがとうございます。ありがとうございます。この子はやればできる子なんです。ほらっ!チャちゃんからもお礼言いなさい。」
「…ありがとうございます。」
「次の人!」
負のオーラに満ちた女の人が出てきた。
「…初めまして…わたくしサシャと申します。」
「特技は?」
「黒魔術です…特に呪いの呪文では負けたことがありません…彼を取られた時なんかは2週間入院させましたから…フフフフ…」
「…2週間呪い続けられるなんて根性あるんだね…」
オータムが耳打ちした。
「ジーク先生…ジャンルが違いませんか?どっちかというと戦う方だと…いやそれすら違うような…」
「いや…こういうのが伸びるんだよ!」
「いやいやいや…負のオーラに満ちてますよ!」
ジークは叫んだ。
「採用!」
「ありがとうございます。…あーよかった…あなたを呪わずにすみました…フフフフ」
「次の人!」
いかにも魔法が使えなさそうな老人が入ってきた。
「えーっと…じゃあ自己紹介からどうぞ!」
「じゃ…ジャシャーンと申すものじゃ!魔術医師歴…いくつじゃったっけ?」
オータムが耳打ちした。
「ジーク先生…この人不採用でしょ!?さすがにこの人は不採用ですよね!?」
「いや…この人には何かある…」
「いやいやいや…この人には治療がいるくらいでしょ!」
オータムの心配をよそにジークは叫んだ。
「採用です!!」
「わしに全て任せときなさい…若いもんにはまだまだ負けんぞ!」
採用面接後…
「先生…全員採用してどうするんですか!!」
「だって誰が凄いかわかんないじゃん!」
「…でも、多少は選びましょうよ。じゃなきゃ最初から全員採用でよかったじゃないですか!?」
「…採用面接…やってみたかったんだよね。」
「はぁー頭痛くなってきた。」
オータムはため息をついた。