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蒼灯の蔵  作者: Log_A
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第8話 正しさが集まる場所

評議室に人が集まったのは、久しぶりだった。


補給所の奥、円卓を囲む席に、

冒険者、商人、補給係、若者、古参が並ぶ。


誰もが、この場に来た理由を分かっている。


灯が減っている。


それだけが共通認識だった。



ロアンが静かに口を開く。


「消費は増えています」


「一方で、支えが減っています」



エリスが石板を差し出す。


「納めに来る冒険者の人数が減っています」


「一人が納める核の量も減っています」



「浅い遠征が増え、重い核がほとんど戻ってきません」



ざわめきが起きる。



マレクが立ち上がった。


「理由は分かっている」


「抜け道が広がっているからだ」



視線がラグスに集まる。


ラグスは腕を組んだまま言った。


「抜け道じゃない」



「得にならない選択を避けているだけだ」



「危険な遠征に行って、納めて、何も残らない」


「それを続けろと言われても無理だ」



マレクは声を荒げる。


「それで街が削れている!」



バルドが低く割って入った。


「落ち着け」



「俺たちは、もっと厳しい時代を越えてきた」


「今はまだ余裕がある」



「この炉は、簡単には尽きない」



ルナが静かに言う。


「“今”は、です」



バルドは視線を向ける。


「若者は不安を大きく見がちだ」



ルナは一歩も引かない。


「不安じゃありません」


「構造の話です」



「支える人数が減っている」


「一人が出す量も減っている」


「これは戻らない流れです」



沈黙。



ノアが口を開く。


「そもそも、支える役を前提にした制度が古い」



「命を賭ける仕事を、当然だとするのはおかしい」



「冒険に行かない自由は、間違いじゃない」



マレクが叫ぶ。


「じゃあ誰が支える!」



ノアは静かに返す。


「それを個人に押し付ける設計が、もう限界なんです」



ラグスが頷く。


「制度が損を強いるなら、皆避ける」



ロアンは額を押さえた。


「皆、正しい」



「だが結果は一つだ」



「灯は減っている」



誰も否定できなかった。



正しさが並びすぎて、

選択肢が消えていた。



ルナが小さく呟く。


「決められない社会は、時間に決められる」



灯柱の光が、わずかに揺れた。

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