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蒼灯の蔵  作者: Log_A
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第5話 減っている支え

夜明け前の補給所は静まり返っていた。


水晶炉の鼓動だけが、地下にゆっくり響く。


エリスは灯柱の前に立ち、石板を開いた。


一本目。

昨日より、わずかに低い。


二本目。

同じだけ低い。


七本すべてが、そろって下がっている。



偶然ではない。



指で記録線をなぞる。


数日前から、下降が続いている。


止まった日は一日もない。



エリスは納付台へ向かった。


箱の中は空に近い。


昨日入った核の数は、以前より少ない。


それだけではない。


小さく軽い核ばかりだ。



(人数が減っている)


(そして一人あたりの量も減っている)



かつては並んでいた冒険者たちの列。


今は、途切れ途切れだ。



階段の掃除をしていたルナが、灯を見て立ち止まった。


「……下がってますね」



エリスは石板を見せる。


「毎日」



ルナはしばらく黙り、記録を追う。


「これ、支えが細ってます」



「消費は増えてるのに、戻りが減ってる」



「人数が減って」


「一人が納める量も減って」


「両方同時に起きてる」



エリスの胸が重く沈む。


努力の問題ではなかった。


誰かが怠けたわけでもなかった。



構造そのものが変わっている。



補給所の奥には、歴代冒険者の名が刻まれた壁がある。


上の列は密集している。


下へ行くほど、空白が増える。



ルナが指でなぞる。


「支えてきた人が多かった時代」


「今は少ない」



「しかも皆、危険を避ける」



「これ……戻る線じゃないですね」



エリスは小さく息を吐く。


「貯えを食べながら生きている状態」



「見た目は普通」


「でも中身は減り続けている」



灯柱はまだ十分に光っている。


誰が見ても不足には見えない。



だが意味は変わっていた。


この光は、支えられている光ではなく、

削られている光だった。



ルナが静かに言った。


「もう努力でどうにかなる段階、越えてます」



エリスは頷いた。


「ここから先は、選び方を変えないと止まらない」



地下に、灯の脈動が響く。


ゆっくり、確実に。



減っているのは灯ではなく、未来だった。

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