ゼロの鍛錬
翌日ゼロが目を覚ますと外が騒がしい
ゼロ「なんだ?いつもの騒がしさと違うような…」
ザガンや商売人達が奏でる喧騒とは違う
傍観している者達の喧騒がそこにはあった
ゼロ 「ザガン、何かあったのか?」
ザガン「おうゼロか、ちょいと面倒があってな」
ザガン「昨日おめぇが採掘場に行く前に国の遠征について話したろ?」
ゼロ 「あぁなんだっけ、遠征して来る時に頼むって話?」
元々採掘場の制圧は国に任せるつもりだった事を思い出す
ザガン「それよ、その国の遠征日程が決まったらしいんだが」
ザガン「そのメンツがかなり厄介なもんでなぁ」
ゼロ 「メンツって…ただの遠征メンバーじゃないの?」
ザガン「スワレに冒険者ってのがあるって事は聞いたよな?」
ゼロ 「あぁうん、四つの大国にあるギルドの話も」
ザガン「その冒険者ってのにはランクがあってな」
ザガン「D、C、B、A、Sの五つのランクが存在してる」
ゼロ 「あぁよく聞く単語だぁ」
ザガン「その内Sランクってのはレベル100越えの奴らが殆ど」
ザガン「遠征メンバーの中にそいつらが数人混じってるって話だ」
ゼロ 「混じってるのは分かったけど、それが面倒なの?」
ザガンは苦笑いを浮かべて話し始める
ザガン「冒険者でランクSに到達する奴らは癖のある奴ばっかりよ」
ザガン「無慈悲の女王とか、気狂いの獣王、冷徹のエルフ姫」
ザガン「そんなこえぇ渾名をつけられる奴らばっかりなんだ」
ゼロ 「それが遠征メンバーに入ってるのかよ、こわ…」
ザガン「だろ?」
ザガン「遠征があるのは二週間後、おめぇは会わなくてすむな」
ゼロ 「冒険者になる前からげんなりさせるのやめてくれって」
ザガン「がははは!悪い悪い!」
ゼロ 「あそうだ、ここって練兵場みたいな場所ってある?」
ザガン「練兵場?あるにはあるがどうした?」
ゼロが手を見ながらつぶやく
ゼロ 「自分がどこまで動けるのか試してみたいんだ」
ゼロ 「ロケットラビット、ブラッディゴブリンと戦ったが」
ゼロ 「どれもこれも自分の戦闘能力を把握せずに戦ってた」
ゼロ 「だから自分が動ける範囲を知っておきたい」
ザガン「成程な、なら門番のリークに話してみな」
ザガン「あいつならおめぇさんの戦い見てるし使わせてくれると思うぜ」
ゼロ 「リーク…あぁあのナイフを借りた門兵さんか、了解だよ」
ザガンと別れ村の門に向かうと、リアと門兵がなにやら話していた
ゼロ 「あれ?リアさん?」
リア 「あ!ゼロさん!どうして門に?」
ゼロ 「いや、リークさんって人に練兵場の使用の件を話そうと」
リーク「あ、誰かから名前聞いたんですね、俺がリークです」
ゼロ 「あぁやっぱり貴方が、あの時はナイフ助かりました」
リーク「いえいえ、自分こそ助けてもらった身ですから」
リア 「でも練兵場?鍛錬でもするんですか?」
ゼロ 「はいそのつもりです、自分の戦闘能力を把握する為にもね」
リーク「なるほど、確かにそれは大事な事ですからね」
リーク「分かりました!それならご一緒させてもらいたいです!」
ゼロ 「リークさんもですか?是非お願いします」
リア 「私は見学しててもいいですか?」
ゼロ 「いいですけど、見てて楽しくはないと思いますよ?」
リア 「いえ、傍にいられればそれでいいので♪」
その言葉になんのこっちゃと思ったゼロだったが
リークと共に練兵場へと向かった
リーク「ゼロさんは武器、どれを使うんですか?」
ゼロ 「一番使い慣れてるのは短剣なんですけど…ん?これって?」
一際異彩を放つ武器、大鎌の前に立ち見つめる
その武器は他のどの武器よりも大きく扱いも難しいとされるようだ
リーク「それはおすすめしないですよゼロさん、高難度すぎる」
ゼロ 「高難度?使ってる人が少ないからですか?」
リーク「使ってる人が少ないのも事実なんですけどね」
リーク「まずなにより、扱いが難しすぎて使いこなせないんです」
リア 「人づてで聞いた話ですけど、重量バランスが悪いとかなんとか」
リーク「刃の形状がこれなので、武器に振り回されやすいんですよ」
何気なくそれを手に取ってみるとシステムが反応した
~職業取得~
おめでとうございます、隠し職業死神を取得しました
ゼロ 「???」
その文言を見て目が飛び出るのではというくらい目を見開く
そして何事もなかったように大鎌を元あった場所に戻す
ゼロ 「ジャ、ベツノブキニスルネ」
リア 「あの、大丈夫ですか?」
ゼロ 「ダイジョウブダイジョウブ」
ゼロ (物騒な職業来たぁ…)
結局ゼロは手甲をはめて鍛錬を始める事にする
ゼロ 「うん、やっぱりこれが一番しっくりくるか」
リーク「手甲ですか、それもまた珍しい武器選択ですね」
ゼロ 「やっぱり基本は刃物系を?」
リーク「ですね、それが普通だと思います」
リーク「なにせ魔物達も武器を持つ事が多いですから」
リア 「ロケットラビットだって角で攻撃してきたでしょ?」
ゼロ 「確かに今のところ素手で殴り合ってくる魔物はいないか」
話を終えて素振りを始める
ダミーに対して準備運動するようにジャブを、ストレートを放つ
リーク(ロケットラビットとの戦いを見てもそうだったけど)
リーク(まるで隙が無い、熟練者の動きをしてる)
リーク(なのに彼自身は、自分の戦闘能力を把握できてない)
リーク(あれだけの動きが出来る初心者、そんなのが存在したのか)
手甲であるにも関わらず蹴りを出し、思いっきり脛を強打する
ゼロ 「いたあああああああああい!」
リア 「ゼゼゼゼゼゼロさぁぁぁん?!」
リーク「だ、大丈夫ですかゼロさん!」
ゼロ 「間違えて蹴り出したぁ!」
脛を抑えてのたうち回るゼロを見て
リアは心配そうに見つめ、リークは苦笑いしながらも医療道具を持ってくる
ゼロ 「はぁ…痛かったぁ」
リア 「んもー、ビックリしましたよ急に蹴りだすんだもん」
リーク「手甲だけでなく、脛あても着けるべきかもしれませんね」
ゼロ 「脛あて?」
リーク「ゼロさんの戦いは手や足を使って戦う方がやりやすいのでは?」
ロケットラビット、ブラッディゴブリンとの戦闘時を思い出す
両方ともナイフは持っていたが基本手足を使っていた
ゼロ 「確かに、拳と脚で戦ってた」
リーク「表皮が硬い魔物も存在しますからね」
リーク「その相手したら今のよりもっと痛いかと」
ゼロ 「ヒエッ」
リア 「ちょっとリークさん!怖い事言わないで下さい!」
リーク「そういうのもあって、武器を使うのが主流って事です」
ゼロ 「なるほど、そういう事でしたか」
一度武器庫に戻り大鎌を手に戻る
リーク「大鎌…ですか?」
ゼロ 「はい、試してみたくて」
リア 「え?でも職業が無いと扱えないんじゃ」
ゼロ 「俺のスキルの効果で、持つとそれに応じた職業をもらえるんです」
リア 「え?!」
リーク「も、持つだけで…ですか?」
ゼロ 「その代わり装備の効果はつかないし装飾品もオシャレに早変わり」
リーク「なるほど、どれだけ高級でも効果が発揮されないと」
リア 「そ、それでも全部の武器が使えるって事ですよね、凄い」
職業を死神に設定し大鎌を肩に担ぐ
ゼロ 「level85のブラッディゴブリン、その1.5倍のステータス」
ゼロ 「それに加えて、恐らくザガンが作った大鎌の性能か」
目を閉じ大鎌に意識を集中させる
ゼロ 「何でもできそうだ」
目を見開き体を一回転させ横薙ぎに振るうと
目の前にある鉄製のダミー三つが真っ二つに切れる
リーク「なっ!!」
リア 「………」
驚くリークと口をあんぐりさせてるリアを尻目に
大鎌を肩に担ぎなおすゼロ
ゼロ 「成程…これはいいな」
ゼロ 「扱いは確かに難しいが、使いこなせば化ける」
リア 「……凄い」
リーク「本当に……把握してなかったなんて信じられない程です」
旅に出るまで、あと三日




