プロローグ
砂漠の国バルハッドへ向かうため、グリとセリアは港町に立ち寄っていた。
港町は活気に満ち、露店が並び、船乗りや商人たちの声が飛び交っている。
「ちょっと待っててね、グリ。今のうちに船旅の準備を整えるから。」
「オカイモノ!」
セリアは市場の中へと足を踏み入れ、食料や水、旅の必需品を探し始めた。
しかし、その間——
「……なんだ、この鳥?」
セリアの肩から離れたグリに目をつけた者たちがいた。
それは、港町で暗躍する盗賊たち。
「派手な色の羽……珍しいな。こりゃ、金持ちに売り飛ばせばいい値がつくぞ。」
「神獣? そんなもん知るか。ただの変な鳥だろ。」
盗賊たちはグリを捕まえる機会をうかがい、セリアが買い物に夢中になった隙をついて、素早く麻袋を投げかけた。
「……!? ゴハン!!」
「おら、大人しくしてろ!」
もがくグリを袋に押し込み、盗賊たちは港へと急いだ。
「さっさと船に乗せろ。金持ちの集まる都市で売りつけるぞ。」
「高値がつけば、しばらく楽な生活ができるな!」
彼らはすぐに港に停泊している大型の商船へと向かい、貨物庫の中にグリを積み込んだ。
——そして、船は静かに出港した。
その頃——
「……あれ? グリ?」
買い物を終えたセリアが辺りを見回す。
しかし、彼女の肩にいるはずの相棒の姿は、どこにもなかった——。