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沼地の金網には、巨大な蛾の死骸が掛かり・・

作者: 黒実 音子

沼地の金網には、

巨大な蛾の死骸が掛かり、

受肉できず死んだ聖霊の(カルネ)の様に

腐敗し続けている。


その光を灯さない漆黒の複眼は、

最早何も語らない。


一方、沼地には

PALUSTRISというラテン語から

神が作り出した藻類(ナビキュラ)達がいて、

雄叫びを上げながら

汚泥を喰らい、

地上にある有機を

空虚なバルサルバ洞の

暗闇に落とし込んでいる。


蝗達は、もっと大胆だ。

湧いては喰らい、湧いては喰らい、

そうかと思うと、やがて委縮し、

黒く変色し、死んでいく。


無機に生えた有機の(カルネ)達は

宇宙の夢に過ぎず、

地上に僅かな執着こそ見せるものの

やがては無理が生じて

最も自然な形に帰還していく。


そんな中、

人間だけが・・!!


人間だけが

自分達の骸が

大天使(ミカエル)の姿をしている

と思い込み、

哀れな木の死骸にまで高額な値をつけ、

人混みに依存し、

歯を剥き出しにして笑う。


最も鋭利に進化したその(まなこ)

荒野の野火の様に飛び回りながら、

町の灯と、

あらゆるものが落ち往く

光の無い[死]という洞穴を

いつまでも、いつまでも、

恐れ続ける・・

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