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アンリーズナブル  作者: 犬犬尾
第二章 アルヒスト攻防戦
51/113

第18話 話し合いの末に 1

一話が長すぎたので、二分割しました。

 創造主の意図。創造主が少女——エンタクの凄惨な過去を見せた訳。

 それは『自分が彼女と会うから』であろう。だが、そうなることによって気になることが一つ浮上してくる。


——エンタクが、過去に殺されたことについてだ……


 ただ今は、それを確かめることはできない。初対面の相手に対して『過去に死んだことはあるか?』など、訊けるはずがないからだ。というか、初対面でなくても訊くことは出来ない。

 そもそも、過去死んでいるなら、今生きているはずがないのだ。

 厳然たる矛盾。投げやりだ。


 創造主が嘘を見せたのか。嘘だったなら、何故嘘を見せたのか。

 今、実際に自分が混乱しているように、かき乱すことが目的なのか。だが、創造主はそんな意味のない行為はしないはずだ。それは彼彼女のやり方に反している。

 

——わっかんねぇ!!


 『あぁもう!』と言いたげに、シュウは自身の髪の毛を両手でわちゃわちゃとさせた。

 情報が錯綜している所為で、脳がパンクしそうだ。自分がこうやって、副次的に懊悩することを創造主は想定しているだろう。

 そして奴は今の自分を見て、こう述べるはずだ。『悩んでる。悩んでる。嗚呼、可哀想』だと。


「シュウ?」


「あ、いや、何でもない……」


 長耳をピクリとさせ、上目づかいで窺ってくるミレナに、シュウは誤魔化すように目を逸らした。

 とにかくエンタクの過去について、考えるのはやめておこう。腹の虫は収まらないが、先ずは目下の問題に傾注けいちゅうするべきだ。

 

 シュウ達は今、紅炎卓の中——エンタクとその臣下の背を追って、廊下を歩いている。外見は寺院のように見えたが、実際はローガが言っていた通り、領主の住居といって差し支えない。

 敷地内に手水舎や屋根の付いた線香立てが置かれていたのは、参拝者や巡礼者用に設けられたからだろう。


 エンタクは領主ではあるが、神人だ。神聖な存在だと、崇め奉る者が存在するのは考えれば直ぐにわかる。


「まさか、エンタク様が女性だったとは」


「それも、見目麗しい方だね」


 前方、フィアンの呟きに対してリフがエンタクの容姿について述べる。その二人に続いて、


「では、やはり名傑列伝に載っていた絵は、嘘だったんですね……」


 シュウ達が男性だと勘違いしてしまった元凶について、アリスが肩を力なく下げた。


 そうだ。紅蓮の神仙エンタクは、男性ではなく女性だったのだ。見た目の年齢は十八前後といったところ。長い銀煤竹の髪に、紅桔梗の双眸をもつ女性だ。

 何より際立っているのが、エンタクが纏っている服である。


 生脚を見せびらかすようになった短いスカート。胸元をはだけさせ、背中の肩甲骨がくっきりと見える程の布面積の少なさ。

 何とも言えない製作者の趣味が搭載された給仕服だ。


 そして、その服を仕立てたであろう存在は更に前を歩く、


「それは、白い髭の文人が本を書く際に脚色したからです。確か、文人がエンタク様から承諾を得るために言った言葉は『なんだろう。男性で老人の方が面白いし説得力あるんで、脚色していっすか?』でしたね」


 眼鏡を掛けた二人の男女だろう。その二人の内の一人——青年が、訊いてもいないことを説明口調で語り始めた。

 まるで自分の事のように、眼鏡を指でクイッとさせる仕草が鼻につく。


「それで、承諾してしまったと」


 青年の言葉を聞いて、アリスは確認を取るようにエンタクの方へと向いた。目を向けられた彼女は、その確認に対し「まぁね」と淡白に答酬とうしゅうする。

 

 淡白すぎる返答に、アリスは苦笑いだ。


「でも、それじゃあエンタクの地位とか名誉とかが全部、虚像のおじいちゃんのだって誤解されてるってことじゃん」


「別段、改正するような事じゃない」


 代弁者としてミレナが疑念を投げかけたが、エンタクはそれでも機械のように淡白に答える。

 当然ではあるが、その彼女の答えにミレナも「そう、なんだ……」と溜飲が下がらずにいた。 


「まぁ、エンタク様は細かいことに興味がないので……そう! エンタク様にとっては、地位や名誉すらも細かいということなんです!」


 またしても始まった臣下——眼鏡青年のエンタクに対する麗句れいく。そして、次なる決まり文句は、


「エンタク様が真の姿で、世界に名を馳せるところは見てみたいですが、それでは酔狂の塊に、エンタク様のお美しい姿が知れ渡ってしまうことになります。そうなってはエンタク様に悪い虫が、あぁいえ、毒になってしまいますから」


 眼鏡女性が言ってみせた。

 男女共に眼鏡をクイッとさせた決めポーズは、やはり鼻につく。黒髪眼鏡という容姿から、口調や仕草といった性格まで似すぎている二人だ。


「お前ら二人とも、その時産まれてないだろ。自分も関わってます、みたいに言うんじゃない。うざい……」


「「ご褒美感謝します!!」」


 エンタクの指摘に、二人は鼻息を荒くして喜悦の表情だ。対して、エンタクは眼鏡男女を見ることなく、前を向いたまま無反応である。


 『あぁ、うん』と誰もが思っただろう。一人だけ、そうではない者がいるのだが。今はほうっておく。

 眼鏡男女がエンタクへの感情を麗句で表現し、それをエンタクが気だるげにあしらう。これでテンプレなのだろう。

 純粋なミレナも「どこが、ご褒美なの……?」と、当惑の言葉を残してしまうほどだ。


「嗚呼。冷たい目、艶やかな唇、整ったまつ毛に眉毛、麗しい目、艶麗えんれいなスタイル! そして何より、内に秘めきれていない善なるオーラ。正しく麗姿! 何とお美しいことか!」


 戻り、先ほど放っておいたのはローレンだ。彼は拳を固め、眼鏡男女と同様にエンタクへの思いを麗句で綴る。

 良いか悪いか、片膝を付いて手を伸ばしているローレンに、眼鏡男女は熱い視線を向けた。そして、何故かその視線にローレンはもじもじとし始める。

 その彼を見て、眼鏡女性は視線を逸らして、眼鏡青年とひそひそと話し始めた。


 片耳に「大丈夫ですよ。多分」と聴こえてくるが、何をしたのだろうか。

 全くもって理解不能だが、良い方向に動いたと信じたい。


「静かにしろ馬鹿! き、失礼なことはするなよ。アメニア……」


 時機としては、もう遅すぎる忠告だ。半ば、アリスも辟易としている

 言葉の合間に入った「き」という含みの内容は、想像に難くない。というか、キモいだ。


「あれ、でもよ。ここにある木彫り像は、女性の像なんすね?」


「それはですね、文人の方が後だからです」


 他愛ない掛け合いをしながら歩いていると、リメアを背負ったグーダが正面に見えるエンタクの木彫り像を眺めて言った。

 そのグーダの恣意的な疑問に、眼鏡青年は『待ってましたよ』と腕を組みながら、知識を衒ってみせた。


「ということは、これはかなりの年代物なのでは?」


 眼鏡青年の言葉に、リフは大きな木彫り像を観察しながら質問。シュウ達も、リフに続いて像へと目をやる。


「まぁね。僕からすれば、まだ浅いけど……」


 その木彫り像へと視線が集まるや否や、エンタクは淡々とした口調で返した。


 しかし、何とも違和感ある光景だ。シュウの先入観では、神を模して彫られた木像は男性のイメージで統一されている。

 だが実際、目の当たりにしているのは炎に包まれている女性の像だ。それも、まるで炎を、自由自在に操っているかのように彫られている。

 伝統文化とサブカルチャー文化が混ざり合った感じの違和感である。


「ここには、関係がない者や、薄い者はほとんど招き入れることがないんだ。それに、アンコウエンは他領地とは違って閉鎖的だ。だから、お前らは僕のことを男だと勘違いしたままだったんだろう」


 皆が木彫り像の前で足を止める中、エンタクは長髪を揺らしながら、一人で歩いていく。

 物事の因果を理解しておきながら、その実、自身に関する事でも周章としない。俯瞰的ふかんてきと言えばいいのだろうか。

 彼女の端倪たんげいは、シュウにとっては深すぎて計り知れない。


「嬉しいです! エンタク様の佳麗さを、傾国の美しさを、僕たちぐらいしか知らないってことですから!! エンタク様を独り占めです!!」


「いいこと言うじゃない眼鏡! エンタク様を独り占め! 最高の響きね!! うへへ!」


 麗句を語りながら走り出す眼鏡青年に、眼鏡女性も便乗して走り出す。エンタクに追いついた二人は、そのまま彼女を随伴ずいはん。その二人のしつこさに、エンタクは「そういうのいい、マジキモイ」と、今度はマジな嫌悪感を露わにした。

 

「「何言ってるんですかエンタク様!」」


 声を荒くして、眼鏡男女は視線を落としながらエンタクへと近寄る。そして、


「僕たち」「私たち」


「「気持ち悪いのは平常運転ですよ!! 罵倒は寧ろご褒美です!!」」


 歓然と目を輝かせて、気持ちが悪いことこの上ない発言をした。

 とことんつまらない事を聞いたエンタクは、不意に立ち止まった。それから「へぇ」と力の抜けた声を出して振り返り、


「よし、じゃあ左遷だな」


「「誠に申し訳ございません!!」」


 その冷酷無比な対処に、眼鏡男女は深々と腰を曲げて、丁寧な謝罪を入れた。

 舌の根が乾かない内の翻しだ。余りのダサさには才能すら感じられる。


「あはは、凄くキャラが濃そうな二人ね……」


 突起したキャラの濃さにミレナは引きつった笑みを浮かべて、こめかみをポリポリと掻く。シュウも「そう、だな……」と顔を引きつらせて笑った。

 周りにいたリフとフィアン、グーダ、アリスも同意するように笑う。その中、ローレンだけは「お美しい」と、相も変わらずエンタクに見惚れていた。


 全員を無視するように、エンタクはそそくさと一人で歩き始める。その背中を、眼鏡男女は喜びながら続いていく。シュウ達も歩き始める。


 窓の外から入り込む陽光に、肌を焼かれながら歩いて数十秒。

 エンタクは折り畳み式の両開きドアの前で止まった。瞬刻、眼鏡男女はエンタクに指示されてもいないのに、ドアを欣然きんぜんと能動的に開けてみせた。


 エンタクの役に立てることが、相当嬉しいのだろう。

 

「さて、着いたぞ。ここが客室だ。僕は上座下座の風習は好まなくてな。お前らが気に入らないなら変えるが、どうする?」


 エンタクの可否に対し、シュウ達は互いの顔を見合った。特に反論する者もいなく、


「いいえ、大丈夫です。そのままで問題ありません」


 と、フィアンが代表して答えた。


「そうか、ならそのままで頼むよ。それはそうと、お前の背で気絶しているそいつは、話に参加するのか?」


 エンタクがそう言って指を差したのは、グーダの背中で気絶したリメアだ。

 

「若頭は話し合いに参加する予定だったんすけど、起きそうにないので……」


 グーダはばつが悪そうに、エンタクを見る。

 ここまで来て目を覚まさないのであれば、リメアの脱落は確定だ。彼の知識は必要不可欠なのだが、こればかりは仕方がない。


「そうなると、リメア殿はどうしましょうか?」


「なら、俺が運ぶぜ」


 リメアの脱落が確定したことで、フィアンが彼をどうするか議論を求めようとすると、やぶから棒に幼い声が聴こえてきた。

 シュウ達は前方——曲がり角の奥を見やると、青髪でつり目が特徴的な少年が姿を現した。


「ハオガキじゃん。なにぃ? エンタク様に気に入られようとしてんの?」


「チゲェよ! ローコが手伝えってうるせぇから! 嫌々来たんだ!」


 突如とした少年の登場に、眼鏡女性は目を細めながら彼を弄る。弄られる少年は顔を憤然ふんぜんとさせながら、眼鏡女性に指を差して反論する。

 そうやって躍起になって否定する少年に、眼鏡青年は嘆息。首を振りながら、


「相変わらず分かり易いですね。ハオは……」


「うっせぇ! 希少できしょい童貞処女コンビ!!」


 馬鹿にされた少年は、ポケットの中に入れていた手を出して眼鏡男女へと指を差した。

 その刺々しい言葉に、眼鏡男女は怒りの表情で、


「「あ?」」


 声と顔がマジの怒り方だ。少年は冷や汗をかきながら、


「あ、いや……かっこよくて美しい、お兄ちゃんお姉ちゃん。その人は、俺が隣の部屋で、寝かせて、おきます……」


 眼鏡男女の機嫌がよくなる言葉を並べた。キレると怖いタイプである。

 ふと、少年の手が傷だらけになっているのをシュウは目の端で捉えた。何か、あったのだろうか。


「その人、俺が運ぶんで……いい、ですか?」


「お、おう……」


 横目で眼鏡男女を窺いながら二人の前を通り、少年はグーダの元まで歩く。それからグーダにリメアを渡してくれと催促した。

 グーダはたどたどしくしながら、彼にリメアを渡した。


 受け取ると、少年は眼鏡男女から逃げるように走り、横にある部屋の中へと入っていった。


 それを見ていたシュウ達の心境は『二人のコンプレックスには、触れないでおこう。うん!』である。


「じゃあ、一先ず中で待っていてくれ。僕は、この服装が話し合いに不適切だと思うから、着替えてくる。適当に崩して待ってていいよ」


 そう言う、エンタクの服装は確かに不適切だ。一言でいうと淫猥いんわいである。

 真面目な話をする為に、布面積の多い服に着替えてもらえるなら、そうしてもらおう。


 エンタクは廊下の奥まで歩き、曲がり角を曲がって姿を消した。


「エンタク様! この間新調したやつ、それにしましょう!!」


「うん、分かった。それにするか」


「僕はお茶を入れてきます!」


 眼鏡男女もそうやって顔を明るくしながら、エンタクの後を追って曲がり角の奥へと消えていった。

 エンタクは服の選定を男女に任せたのだろうか。或いは、男女が能動的にしているのか。十中八九、後者だとは思う。


 姿を消したエンタク——廊下の奥を見て、ローレンは「凄くよかったのに……」と、ため息をこぼす。女性陣はその隠す気のない行動に、彼を忌避の目で見た。


 こいつは面倒が過ぎる。出来るだけ、奇抜な被服でないことを希う。


「何か緊迫した感じになると思ってたけど、結構、その、なんていうか、柔和よね……」


「確かにな……」


 共感を求めてくるミレナに、シュウは呆然と答えた。

 姿が見えなくなった後も、曲がり角の奥から「ハァイ!」と、朗々(ろうろう)とした声が聴こえてくる。シュウとミレナ以外の者も、想像していたイメージとの差異に困惑しているようだ。

 表すなら『嵐が去った後の荒れ地に立っている』だろう。

 

 エンタクと会うまでは、謹厳実直きんげんじっちょくを体現した存在だと思っていたが、まさかここまで差異があったとは。先入観恐るべしだ。


「入りますか……」


 リフのセリフに、シュウ達は用意された客室の中へ入った。


 ミレナは「座布団だ!」と言って、一番前に出ると、四掛ける二列に敷かれた座布団——左前に敷かれた座布団に座った。

 ミレナに続いて、シュウ達も座布団に座ろうとしたが、彼女以外の六人は座布団の前で足を止める。それは、


「前は四人、後ろを三人にしますか」


 誰が何処に座るかだ。


 リフの勧めに異議を唱える者はいず、最初にローレンが「では私は前へ」と言って前列右中央へ。

 二番目にアリスが「それならば、私も前へ。こいつが暴走しないようにします」と、ローレンの右側に座った。

 三番目にグーダが「俺は後ろだな!」と、ミレナの後ろに座った。

 

 前三つに後ろ一つ。シュウは自身の適所は後ろだと踏むと、


「まぁ俺も、後ろかな」


「いや、僕はイエギク君が前でいいと思うよ」


 グーダの横に座ろうとした時、リフがシュウを止めた。

 シュウはリフに「え? 俺っすか?」と、惚けた声で訊き返してしまう。それでもリフは、自信を持った顔で頷き、


「君は機転が利くし、適切だと思う」


 大役を任されてしまった。ただ、こっぱずかしいが嫌ではない。

 そして、シュウの背中を後押しするようにミレナが「私もそう思う!」と言い、重ねて「異議なしです」とフィアンが続く。


 ここまで言われては、辞退する訳にもいかない。

 シュウは前に座ろうと座布団を踏むと、


「私は断固拒否します。悪がうつりそうですから……」


 力を失った神将様が水を指してきた。

 横に座っていたアリスが彼の耳を「お前は黙ってろ」と言って、力強く引っ張る。痛みに声を荒げるローレンは、そのままアリスに抑止させられた。


 断固拒否などと発言する奴の横に座るのは、罰ゲームなのではなかろうか。

 シュウはそう胸中で述懐しながら、座布団に座った。


「何か、暇ね」


 ミレナの発言から手持無沙汰を解消する為に、座布団がらみで絹の話が始まった。

 座布団の中綿が絹であるやら、中央都の方の中綿は綿であるやら、初代クェンサの皇帝は、絹が高すぎると絹製品の使用を固く禁じた、などなど。

 丁度、絹についての話を終えると、廊下の奥から足音が聴こえてきた。


「待たせて悪かった」


「アンコウエン特産の白茶です」


「ついでに私達も同席しますね」


 そう言って、中華風の被服に着替えたエンタク。盆の上に人数分のお茶——互いに五つずつ持った眼鏡男女が、客室に戻ってきた。

 これが普段着なのだろうか。布面積は多くなったのだが、もう少しだけ慎ましさをアップしてほしい。


 ローレンが暴走しそうだ。だが、シュウの憂慮は酷薄こくはくにも崩れ去ることになった。

 瞑目して「そのお姿も、お美しい」と、感涙しているローレン。

 嘆息だ。煩わしさが沸点に達しそうである。


 そんなシュウの心境など、露ほども知らないであろうエンタクは一束に纏めあげた後ろ髪を、お尻で踏まないようにしながら座った。

 眼鏡男女も各々へお茶を渡し、エンタクの左右へと座る。


「それじゃあ、始めようか。お前らが僕を仲間にしたい、その思いの丈を聞かしてもらおう……」


「「「…………」」」


 厳かなエンタクの言葉。緩んでいた空気が、緊張の空気によって併呑へいどんされた。

 シュウは自身に言い聞かせることなく、自然と精神統一していた。どうやら、他も同じのようだ。


 いよいよ、始まる。


『説得……本当に、それだけで……?』


 今考えるべきは、そのことではない。必ず説得して、エンタクを仲間に加えてみせる。


 ——シュウはそうやって、かの日の夜に抱いた不安を塗り潰すように臨んだ。

エッチな給仕服を着て、シュウ達の前に出てしまったエンタクの心境


「あ、やべ……忘れてた」

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