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やっと…書けた_(┐「﹃゜。)__


「うん。傷も塞がってるね!本当に凄いわ。あのポーション」



「世界が変わるね…」




起きたルルちゃん?の傷の具合を見ながら2人は口々にそう呟く



透き通るような水色のショートカットの髪をした少女は2人と私の話を聞いて漸く事態が飲み込めたようだった



「うん。本当にありがとう」



眠そうな顔をしているがこれが通常運行らしくのんびりマイペースな子みたいだ




「どういたしまして。ご飯はもういい?」



「うん。お腹いっぱい」



満足そうにしながらお腹をポンポンと叩いている



「それで、ルル。他の2人は?」



エーファがルルに問いかける



「わからない。私は全員と逸れてアンデッドに追っかけられながらなんとか逃げてきたから…」



「そっか…」



落ち込んだ様子の3人



「あの2人は体力馬鹿なので案外街に先に帰ってるかも?」



「それでも…もし、帰ってなかったら…」



元気付けようと言葉を放ったエーファだけれど、マリアにばっさりと斬られる



「…えーと。ルルちゃん?は魔導師だよね?魔力探知で2人がいるか調べればいいんじゃないかな?」



「そんな高度な魔術は使えない。更に言えばこの山と森を覆う程の魔力探知なんて難しい」



ルルから厳しい反論をもらった。まぁ確かに優秀とはいえ、学生。無理させるのも悪いしなによりまだ必至に頑張っている人がいるのであれば助けに行かないといけないと思う



という事です魔力探知を発動。



体を纏うように魔力の膜を発生させる。それを徐々に体から離れて行くように大きくしていった。



その魔力の膜の中に入ってきた生物に反応していく。四足歩行や比較的小さな生物にも一つ一つ反応してきて凄くごちゃごちゃしていくため、反応するのを人型、取り敢えず三人娘の中で比較的に一番小さなルルのサイズ以上の二足歩行の生物に限定した状態で広げていく。



遂に山の方に二足歩行の集団を発見。多分これがアンデッドの集団だろう。そこから少し離れた所に動かない2人の反応を見つけた



「…ん。いたね」



2人の魔力にマーキングして一旦魔力探知を解除した。



彼等の魔力の特徴さえ忘れなければ、これでいつでもどこにいるかわかるようになる



ふぅ。と一息ついて3人を見ると唖然とした顔をしている



「え?いたって?」



「多分…魔力探知。さっきふわっと魔力が拡散した感じがした。…でもこれは…」



「えぇ?じゃあ2人を発見したって事ですか!?」



3人とも口々に話しているが…まぁこんな辺鄙な所に住んでるザ・田舎者の私がそんな魔法を使った事に驚いているんだろう。



こちとら師匠に訓練として掌サイズの魔法石の魔力を覚えさせられてその直後にこの山とか森の何処かに隠したのを探すという事をさせられた。しかもあの師匠、それをするときは大抵街のケーキを買ってきた時である。1時間経つごとにお土産として買ってきたケーキが一つずつ減っていく。…必死にもなったものです。まずは魔力を広範囲に広げる事自体が難しく、すぐに魔力切れ。一日中気を失っており、起きた時にはケーキのゴミが散乱しているという現実に打ちのめされました。

なんとか膜を薄くしたりして無駄のない効率的な使い方を学び広げる事に成功しましたが、それから探しに行く辺りで魔力が切れて倒れる、を繰り返しました。



…いい思い出だ



「はい。今のところ、2人は無事ですが、近くにアンデッドの集団ですかね。いるので、あまり余裕はないかと…」



「た、助けに行かないとっ!!」



「でも…私達が行っても…」



「多分、返り討ち…」



私の言葉を聞いて3人は焦ったような感じで話し合いとなる



「取り敢えず、アンデッドをこちらに誘導しますよ?2人にも念話でメッセージを送ってこちらに来て貰えば挟撃も出来ますから」



「誘導!!それに念話!!」



ルルの食いつき方が半端ない…そんなに田舎の魔導師が、珍しいのだろうか?



誘導とはそのままの意味で対象に魔力を送る事で此方の思う方向に進ませることができる。

ただし、これはかなり限定された使い方になる。

吸血鬼などの誘惑などに類似するものである程度相手を意のままに操る、というものを行動に限定させているものである。

まず、知能の高い生物や意志の強い生物にはあまり、というかほぼ効かない。

逆に今回のアンデッドや獣など本能的に動くモノには驚く程効果が高い。


なので、先ほどのアンデッドの集団がいた辺りに魔力を送りこの家に向かう様に誘導していく



簡単に魔力を確認するとゆっくりとその集団はこちらに動き出した



それに併せて身を縮こませていた2人に念話を送った




☆★☆




『あーあー。ほ、本日は晴天…ではないね。曇天だった。』



こんな変な始まりから聞こえた念話の声は澄み渡る様な凄く綺麗な声だった



「ミシェル…」



「待って。ライド。僕にも聞こえてるから、幻聴とか君が頭可笑しくなったわけでもないからちょっと黙って」



学院でも秀才で通っているこの男は真剣な表情でそんな事を宣った



『あー…。いきなりこんな事言われて不安かもしれないけど、私は敵ではありません。今アンデッドを誘導してそこから移動させます。なので、アンデッドの集団から少し離れた位置にいて付いてきて下さい。その先に三人むす…えーと…エーファ、マリア、ルルの3名もいます。全員無事です。決してバレない様に距離を空けて付いてきてください。以上』




若干矢継ぎ早に説明してきた綺麗な声の人は一方的に話して通信は切れた



「ふむ…」



隣の秀才君は何やら思案顔で考えている。きっと頭のいいこいつは今の言葉の真意を探っているのだろう



「…どう思う?ミシェル」



ある程度頭の中の整理がついたらしきミシェルに尋ねる



「…多分大丈夫だとは思うけど…きっと声の主はこのアンデッドの集団に誘導の魔法を使うつもりなんだろうね。あぁ、専門外のライドに説明するのは難しいからどれだけ難しいか簡単に説明すると宮廷魔導師が30人体制でなんとかあの集団を2m程度なら動かせるだろうね」



うわ、それってめっちゃ難しいってかほぼ不可能な事だろう



「それに3人の名前を知っていることから一緒にいるのも当然…。だからあのアンデッド達がもし本当に動き出したらその後をつけていこう。うまくいけばあの3人と合流できるしね」



なるほどな。やっぱりこいつは頭がいい



2人で徐々に動き出したアンデッドの集団を横目に俺達も動き始める



それにしても、本当に綺麗な声だった。



まぁ声だけで判断すると痛いしっぺ返しを食らう、と以前親父が言っていたけれど、こんな状況でどうかとは思うが不謹慎にも声の主に会えることが楽しみではあった



それに…今回のこのクエストは謂わば俺の我儘でもある。



そのせいでミシェルやあいつらに迷惑をかけた。まだ、全てが片付いたわけじゃあないけれど、あの女神様の様な穏やかな声を聞いて何となくだけどそう思えた。



あいつらは、俺が守る。次こそは全員を守ってみせる。例え、この命が尽きようとも…




☆★☆




うわー…これは多いなぁ…



誘導の魔力を流した後に此方も対策を行った



まず、この辺の地形を凸凹と迷路の様に道を作り、このマイハウスに辿り着くにはその迷路を歩かなければいけない様にした。もし、両端の堀に落ちた場合、周囲に大量にあった雨水を使用して目の前の切り立った崖にフォールアウトするように作った。この仕掛けには大量の水が必要になるが、そこは現在周囲に大量にあった雨水を使用して少ない魔力で作成することができた



そして準備が出来た頃に未だに茫然としていた三人娘にこの仕掛けと撃退の仕方を説明する



幸いなことに全員が遠距離攻撃の術を持っていたため、細い道を通ってきているアンデッド達を片っ端から落としていく、という簡単な作戦で決定した




そしていざ、集まってきたアンデッドと相対した訳だけれど…



「多くない?」



そこには明らかに探査した際に発見した数の数倍はいるアンデッド達だった



理由は簡単



あくまで反応したアンデッドは二足歩行のアンデッド。つまりその周りには四足歩行のアンデッドもいたわけで…まぁそういうことだよ




「まぁ、やることは変わらないけどね」




狭い通路を歩いて此方に向かってきはじめたアンデッドに風の最下位魔法をぶつけていく



基本的に骨しかないアンデッド達は脆く軽い。そのため、少しの衝撃で後退り吹っ飛ぶ



面白い様にアンデッドは流れの速い水路に落ちそのまま宙に投げ出され、崖の下へと落ちていく



ふと他の三人の様子を確認すると、エーファは片手の直剣、所謂ロングソードに魔力を付与して斬撃を飛ばしアンデッドをバラバラにしていた



マリアの武器は弓だった様で矢に風の魔力を付与して矢が通った矢の道を中心に吹き荒れる風でどんどん落としていった



ルルはやはりというかなんというか純粋な魔導師だったらしく下位の風魔法で私と同じ様にアンデッドを水路に叩き込んでいた



ほぼ作業の様にアンデッドを落としていくとアンデッドの数が目に見えて減っていた。もう少し、と気合を入れ直した直後、私の目には信じられないものが映り込んだ



それは巨体。強靭な鱗もグズグズに爛れた痛々しい姿。ズラリと並んだ黄ばんだ鋭い牙は隠そうともせず獰猛で、かつてはその巨体を軽々と宙に浮かせていた翼はボロボロとなりその機能はどうやっても果たせそうにないが、広げる事でなおも恐怖心を煽るほど威圧感があった



そこには全生物の頂点とも言えるドラゴンの腐った死体が地鳴りを上げながら歩き、陥没した瞳で此方を見ていた

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