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Another Elements  作者: 翡翠 律
ー新緑の瞳の王-
16/44

16.属性


「こうやって使うのよ」


 ラタは弱々しく茶色い魔法石に小さな手で触れ目を瞑る。

「思い描くの。扉や蓋が開きそこから魔力が噴き出すイメージを描いて魔力を解放する。...『セフィロト』」


 ヒュンッとラタの周りの空気がかすかに音を立てて黄色い光が生まれた。光は集まり、樹の形を模すとラタを丸く包むような光の筋に変わった。


 光の樹の籠に入ったラタの体に残っていた傷跡は跡形もなく消えていく。


「よかったぁ!ラタ!」

「この魔法石が木属性の回復魔法で良かったわ。私にはとても相性が良いのよ」

 ラタの言葉にハッとする。


「属性!!」


 いきなり大声をあげた私にラタがビクッとした。

「な、なによ?」

「ラタ!水と相性が悪い属性は!?」

「相性が悪い?それなら、今使った木属性。それと雷属性かしら。バラガ様の森の属性は木属性よりだけど、森は水と共生してるから類似属性になるわ。

 火属性は水属性と互角だからお互いの魔力量でどちらが強いかが決まるの」


 そうだ!さっき思い出そうとして思い出せなかったのはこれだ!


 前世で友達が貸してくれた冒険モノのRPGにはどんなゲームにも大抵魔法が出てきた。

 魔法にはそれぞれ属性があって、『火属性は木属性に強い』などと一定の決まりがあった。つまり木属性の術者や魔物に火の魔法を使うと大打撃を与えることができるが、逆に火属性の対象物に木属性の術を使ってもあまりダメージを与えられなかったりするのだ。


 (ということは)


 ジャラッと袋の中の魔法石を全部出す。

 木属性の茶色い色をした石は全て回復系魔法しかなく、雷属性の石はなかった。

 火の魔法石が8個、水の魔法石が3個、土の魔法石も3個。

 

 顔を上げると、妖獣はガゼボの近くまで来ている。ケルピーの周りの空気が水色に染まり振動していた。もしかしたら何か魔法を使うつもりなのかもしれない。時間はない。


 (よし!!)


「ちょ...ちょっと待ちなさいよっ!!あんた、全部投げる気!?」

「全部じゃないわよ!水と張り合える火の魔法石を全部投げたらケルピーぐらいはやっつけれるんじゃないかって!!」


 水の精霊王に人間の作った魔法石はあまり効かないかもしれないが、妖獣なら!


「ダメよ!あんた、魔法石って高いのに!慎重に使いなさいよー!!しかも火の魔法石を一気に使うなんて

この小川周辺焼け野原にしたいわけっ!?」

「いいのよっ!これ買ったお金はフラワーフェアリーが光の精霊王を祀る教会からもらってきたやつだって言ってたし!仲間を守るために使うなら神官さんも文句は......って、焼け野原?」


「そうよ!火系魔法をこんなに一気に使ったらここら一体焼けてしまうわよ!」

「それは困る!じゃあ、どうしたら...あぁっ!?」

 見ると、ケルピーが前足を上げ魔法を放出させようとしている。


 間に合わない!!


「オパール!!魔法石を解放して全てこっちに投げて!!」

 バラガが弓を引きながら叫ぶ。

「えぇーっ!だって焼け野原になっちゃうって!!」

「大丈夫!僕を信じろ!!」

 バラガが弓を引くその矢の先は水の光をまとった妖獣だ。


「もー!!とにかく何とかなって!!」

 両手に抱えた火属性の魔法石を全てバラガのほうに投げた。

 魔法石は空中で赤やオレンジ色の光を放ち中から火炎や火球が現れる。


ヒュンッ


 バラガが放った矢が魔法石たちの中を通り、火炎や火球を矢に巻きつけながら勢いを上げ、真っ直ぐに妖獣を貫く。


 グアァァア...!!


 ケルピーの体は燃え上がり、シューシューと水が蒸発するような音を響かせて消え失せた。

今日はもう1話投稿する予定です。お昼あたりに次話投稿を考えています⭐︎

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