王女様に会いました
それから、あっという間に僕が退職の日がやって来た。
「どうも、皆さんお世話になりました。」
同僚達からは『頑張れよー。』とか惜しむ言葉を言われた。
一番多かったのはミーナと別れる声が多かったのは……、まぁしょうがないかな、て思う。
「ロイ、ドウスルノ?」
「まずは王都に行って退職金をもらってから旅支度をしてから旅立とうと思っている。」
「オウチハ?」
「……正直行きたくないけど、チラッと見に行くぐらいなら。」
荷物は既に村の方に送ってある。
王都から5日ぐらいかかるらしい、まぁミーナと一緒にプチ旅行だと思えばそんなに長くは感じないだろう。
という訳で、2日かけて王都へと戻って来た僕はそのままお城へとやって来た。
ミーナは街に来るのが初めてみたいで終始辺りをキョロキョロしている。
「すいません、退職金をもらいに来たんですが。」
受付で名前を言って番号をもらい待つ事にした。
それから数分後、名前を呼ばれ僕は受付に来た。
「ロイ・ミスト様、奥の方へどうぞ。」
奥の方?
普通は受付でもらえるんだけどな……。
やっぱり兄がしでかした事が問題なんだろうか?
それとも、ミーナの事かな……。
下手したら退職金どころの話じゃなくなる可能性があるかもしれない……。
「この部屋か……。」
覚悟を決めてドアをノックして中に入る。
そこで待っていたのは……。
「ロイ・ミスト様、お待ちしておりましたわ。」
「ル、ルイーザ姫様……。」
兄の元婚約者のルイーザ姫でした。
「あ、あの兄が失礼な事をしてしまい申し訳ございません……。」
「あぁ、その件でしたらもう全部済みましたから問題はありませんわ。今日で退職されると聞いたのでご挨拶をしよう、と思っていましたの。」
終始ニコニコと笑顔を絶やさないルイーザ様だけど、正直その笑顔が怖い。
「オヒメサマ、コンニチハ! ミーナデス!」
そんな僕の様子とは関係なくミーナは挨拶をした。
「まぁ、この子が例の魔族の子ね。マーリスから聞いたけど可愛い子ね。」
「エヘヘ♪」
頭を撫でられてミーナは笑顔になっている。
「ちゃんと礼儀を教えているのは流石はロイ様ですわね。」
「いえ、基本ですから。」
「その基本を忘れてしまっている方が多いから困るのです。私の元婚約者がそれでしたから。」
「申し訳ありません……。」
本当は土下座したいぐらいなんだけどね……。