ミーナの事、これからの事
「あぁ~、それからミーナちゃんの事なんだけどね。」
「ミーナの事?」
「?」
ミーナもいきなり自分の名前を言われてキョトンとしている。
「実は撫でた時に『鑑定』を使わせてもらったんだ。友人が保護した子がどんなの子か気になるじゃない?」
「おまっ!? ……まぁ、しょうがないか。」
王族には王族しか持てない『レアスキル』がある。
マーリスが持っているのは『鑑定』、物や人の『真の評価』を見極める事が出来るらしい。
僕が家族仲があまり良くないのも勿論知っている。
だからこそ、心を許してくれたんだろうし、極秘事項でもある自分のレアスキルを教えてくれた。
「結論から言うとミーナちゃんは魔族、しかもかなりの上級種の血を持ってるね。」
「なっ!?」
「マゾク?」
僕は驚きの声を上げ、ミーナはまだキョトンとしている。
「うん、見た目は普通の女の子に見えるけど、潜在能力は高いよ。まず魔力が∞だ。」
「む、無限大って!?」
「だから、本人が覚えようと思えば魔法を覚えさせることができるよ。他の能力値も高いし、成長次第ではとんでもない大物になるかもしれないね。」
マジですか……。
「でも、なんでそんな上級魔族の女の子が森で一人でいたのか、ていう話になるんだけど……。」
「そうなるとさっきの話が繋がってくる……。」
マーリスが言っていた魔族領内で起こっている異変、コレにミーナが関わっているのかもしれない。
「今後もひょっとしたらミーナちゃんの様なケースが出てくるかもしれないね。」
「だとしたら、うちの同僚たちは喜びますよ。今の時点でミーナは人気がありますから。」
「男臭い現場だからねぇ、そうなるのも無理はないか。」
いや、わかっているなら環境の改善をお願いしますよ……。
「まぁ、僕はもうすぐ離れますからね。」
「あぁ、今週で勤務終了、除隊になるんだったね。」
「えぇ、無職が確定してるんですけどね。」
「うん、それに関してだけど、子供と一緒に生活する訳じゃない。貴族の生活は散々なんでしょ?」
正直、貴族の生活にはうんざりしている。
はっきり言って庶民の方が自由で平和に暮らせると思う。
「そこで、ロイにぴったりな仕事があるんだけど?」
マーリスは一枚の紙を見せてくれた。
「住み込みの傭兵?」
「王都から離れたかなりの田舎になるんだけどね、多分王都には戻れないと思う。そこを仕切っている辺境伯から要望があってね。」
「……。」
自然豊かな環境でミーナと一緒に田舎暮らし……。
最高じゃないか!
「行く!」
「言うと思ったよ。じゃあ話はつけておくから。」
「ありがとな、実家の件で迷惑かけたのに。」
「何を言ってるの? 友人だったら当たり前じゃないか。」
こうして退職後の進路は決まった。