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絶望はいきなりやって来る

新作です。よろしくお願いいたします。

「今日も異常なし、と。」

 山奥にある小さな砦、此所が僕『ロイ・ミスト』の職場である。

 この砦は魔族領と人族領の境界線上にあり、魔族領での動きを監視するのが僕達の仕事だ。

 この砦には僕を含めて数人が住み込みで働いている、と言っても僕がこの砦に配属されてからは何にも動きはなく、つまりは暇である。

 そもそも十数年前に魔族と人族の戦争は一次停戦となった。

 理由はお互いに領地内で問題が膨らみ初めて戦争をしている状態ではなくなったから。

 その時の話し合いでお互い監視をしましょう、とこの砦を作る事になった。

 当然、魔族側も監視をしている。

 まぁ、向こうは砦なんか作らなくて水晶で覗いているみたいだけどね。

「ロイ、交代の時間だ。」

「了解しました。」

 交代の兵士と代わり僕は食事をする為に食堂へと向かった。

 砦内には宿泊所や食堂が完備しており比較的自由に行動できる。

 でも、王都からかなり離れた山奥にあるし近くには町や村なんて無い。

 娯楽なんて無いので皆で駄話とかで盛り上がっている。

 特に手紙とか来たら盛り上がる。

 人の恋愛に茶々を入れるのも面白いからね。

 因みに僕には婚約者がいる。

 もうすぐ任期を終えて王都に戻るので僕は結婚するつもりだ。

 僕は伯爵家の次男坊なので家を継ぐのは兄だ。

 貴族の家では長男長女は跡取りとして大事に育てられて他は比較的放っておかれる。

 大体は婿か嫁に行くのが定番だ。

 中には遊び呆けているのもいるけどそんなのはお金とか色々余裕がある家で、それ以外は軍に入って働く者が多い。

 食堂に入ると、仲間の一人が声をかけてきた。

「ロイ、実家から手紙が来てるぞ。」

「へぇ、珍しい。滅多に来ないのに。」

 僕の実家は典型的な長男教なので僕は基本いない者として扱われている。

 僕がどんなに勉強を頑張ろうが全く褒めない。

 兄は成績が悪かろうが良かろうが褒めるし怒られない。

 僕の中ではさっさと実家を離れたい気持ちでいっぱいだった。

 だから、婚約の話も来た時は素直に嬉しかった。

 僕は手紙を読んだ。

「えっ・・・・・・。」

「どうかしたのか?」

「いや・・・・・・、なんで・・・・・・?」

 手紙の内容が信じられなかった。

 手紙には『兄が正式に家を継ぐ事になった事』、『兄が結婚した事』、『その結婚相手は僕の婚約者の公爵令嬢である事』、『それにより僕の婚約の話は無くなった事』、『だからもう家に帰って来なくていい事』・・・・・・。

 つまり、絶縁を言い渡されたのだ。  

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