電車の窓から見える景色は
電車の窓から外の景色を見る
どんどん景色が変わっていく
こんなに楽しいことなのに、大人はどうして外の景色に興味がないのだろう
保育園のリュックを背負った小さな女の子は、窓にほっぺをくっつけて夢中で外を眺めている
スーツを着たお兄さんは、忙しそうに携帯電話を触っている
となりの席のおじいさんは、難しそうな顔をして新聞を読んでいる
窓の外の景色に興味がなくなることが、大人になるということなのだろうか
ぼくには見るもの全てが新しい
まるで迷子になりそうだったビルの森を抜けると
今度は金色に色づいたばかりの田んぼが波打っている
何十年も生きた大人は、こんな景色は何度も見ていて、もう見飽きてしまったのだろうか
ぼくが今見ている景色を、全部知っているのだろうか
知っているから、こんなに無関心でいられるのだろうか
きっと大人たちは知らない
今小さな水たまりが、太陽の光を受けてきらりと輝いたことを
工場の煙突から吐き出される灰色の煙だって、青空に吸い込まれて喜んでいることを